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【六川亨の視点】2021年10月10日 ルヴァンカップ準決勝第2戦 FC東京vs名古屋グランパス

ルヴァンカップ準決勝第2戦 FC東京2(1-0)1名古屋グランパス
14:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数9,910人
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ケチのつき始めは4月3日の名古屋戦に遡る。右SBの中村帆高が右膝半月板の損傷で6ヶ月の離脱を強いられた。

その後は9月に入り左SBとして出場機会を増やしていたバングーナガンデ佳史扶が右膝外側半月板の損傷で全治6ヶ月。夏のマーケットで中村帆高の代わりに秋田から獲得した右SB鈴木準弥は右膝内側側副靭帯の損傷でこちらも全治6週間。CBだけでなくSBもできる守備のスペシャリスト岡崎慎も左足関節捻挫で4~6週間の離脱。そして日本代表にも選ばれた小川諒也(最近では右SBでプレーすることが多かった)は9月22日の第32節・名古屋戦の前半33分に、空中戦を競って着地したところで左ハムストリングスを筋挫傷し、全治約10週間の診断が下った。

サイドバックで無傷なのは中村拓海ひとりだけ。そして迎えた10月10日のルヴァン杯準決勝の第2戦、長谷川健太監督は3バックも考慮したが、今シーズン山形から獲得した攻撃的MFの渡邊凌磨を左SBに起用した。

敵地での第1戦を1-3で落としているFC東京が、逆転で決勝に進出するには最低でも2-0の勝利が必要になる。第1戦の後半アディショナルタイムにアダイウトンが奪った敵地でのゴールが命綱でもある。そして試合は長谷川監督の狙い通り、前線からのプレスで名古屋のミスを誘い、アダイウトンと高萩洋次郎のゴールで“ノルマ”はクリアしたかに思われた。

ところが後半28分、FWシュヴィルツォクへのパスをインターセプトしようとしたCB渡辺剛が入れ替わるような形で転倒すると、すぐには起き上がれず、ブルーノ・ウヴィニとの交代を余儀なくされる。「ふくらはぎ」の肉離れで、「時間がかかるかな」(長谷川監督)と、さらなる負傷者が出てしまった。

そして後半35分、名古屋はMF稲垣祥のゴールで再びアドバンテージを手にすると、猛反撃に出るFC東京に対しカウンターで応戦し、1-2での逃げ切りに成功した。名古屋はルヴァン杯で初の決勝進出となる。対戦相手は浦和に1-0と競り勝ったC大阪。柿谷曜一朗にとっては古巣との対決でもある。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。