ファジアーノ岡山、2季連続1万人越えへの挑戦。その原動力となる『お誘いプロジェクト』とは?

昨季はクラブ史上初となるJ1昇格プレーオフ進出を果たしたファジアーノ岡山。さらにクラブとしての成果はピッチ上だけにとどまらず、平均観客動員数では1万人越えを達成した。その背景には『challenge1』プロジェクトの推進が隠されていた。岡山が掲げる『challenge1』プロジェクトのディテールとは? 岡山の番記者・寺田弘幸氏が同プロジェクトに迫った。

IMG_9046.JPG

▼成績に比例せず、増加した観客動員数

 昨季の最終節・ザスパクサツ群馬戦は、チームがプレーオフ出場を懸けて挑んだ大一番であったと同時に、1試合平均入場者数1万人を目指すプロジェクト『challenge1』の達成を懸けた大一番でもあった。クラブスタッフと一緒にサポーターも力を合わせて歩んできたシーズンの集大成を迎えて平均1万人を達成するためには、1万4,840人を越える入場者が必要な状況で迎えた。こうして最終節・群馬戦のシティライトスタジアムには1万5,204人が詰め掛けてプレーオフ出場を成し遂げた歓喜を分かち合い、チームとともにクラブ、サポーターも大きな目標を達成して至福に包まれた。

 その後にJ1昇格プレーオフ決勝でC大阪に敗れる悔しさもみんなで味わい、J1への挑戦を再スタートした今季。『challenge1』も2年連続の達成を目指してスタートを切っている。今季は昨季までの中心選手だった岩政大樹(現・東京ユナイテッドFC)や矢島慎也(現・浦和レッズ)らが去り、チームは新しい基盤作りを行う難しさを抱えてスタートしたと同時に、集客面でも少なからず不安を抱えながらのスタートを切った。集客担当の岡本龍平さんは、シーズン前から今季に強い決意を持って臨んでいた。

「結果に対するみなさんの期待値が上がっていることはすごく感じますが、昨季の成績が良かったから今季も良いという保証はないですし、昨季に1万人を達成できたから今季もできるとは思っていないです。2年続けて1万人を達成してこそ昨年に達成した意味をより大きくできると思っていますし、強い決意を持たないと1万人は難しいと思っています」

 リーグ前半戦。チームはなかなかパフォーマンスが安定せず苦しい戦いが続いた。しかし、入場者は昨季を上回るペースを記録している。6千人台に落ち込んだ試合もあったが、その要因を岡本さんはこう話す。

「いろいろな要因があります。天気、対戦相手、日程は集客に大きく影響する部分で、あとは順位もありますが、昨季よりも順位が下がっている中で入場者数がプラスになっている。ということは、順位が良いからたくさんの方に来てもらえるというだけではないことを本当に痛感しています。まず今季はシーズンパスが過去最高でした。それはやはり昨季からの期待値の高さがあると思いますし、お誘いプロジェクトの影響も少なからずあると思います。年数回だった人を誘って連れてきてくれたおかげでシーズンパスの増加につながったと思いますし、それは本当にうれしいです」。

『お誘いプロジェクト』とはシーズンパスホルダー・個人スポンサー・ファンクラブ会員の方が仲間を誘って来場いただくと、誘った方にも誘われた方にもピンバッジをプレゼントする企画。2015年から実施してきた企画を今季は全試合で実施するなど平均参加者数は過去最高を記録しており、誘い誘われスタジアムに足を向ける人々が多くなっていることが、順位が伸び悩む中でも集客力が高まっている大きな原動力となっている。

IMG_1043.JPG


▼チーム状態の向上とともに

 今後もこのお誘いプロジェクトを柱にして集客力を地道に高めていく方針だ。「勝てば増えるというわけではないですし、これをやれば一気に人が増えるという答えはないので、今までやってきたことを継続していくことだと思っています。誘われて来てくれた方に試合はもちろん試合前のイベントや飲食も含めて、楽しんでもらって来て良かったなと思ってもらい、その方にまた新しい人を誘っていただく。そうできるようにやっていきたいと思います」と岡本さん。

 7月23日開催の第24節・レノファ山口戦は、岡山県内の高校に通う高校生を無料で招待し、イベントエリアでは高校生によるさまざまな催しも行われた。スタジアム周辺は文化祭のような空間が生まれ、1,600人の高校生がスタジアムに足を運び、今季3試合目の1万人越えを達成している。クラブは今後もさまざまなイベントを考案しており、8月16日の愛媛FC戦と20日の松本山雅FC戦の2試合限定で使用できるビール券を販売。12枚綴りで1杯当たり217円という金額でビールを提供する『BEER FESTA』を開催する。

 また、もう岡山のサポーターにはすっかり定着して対戦相手のサポーターにも好評な『ファジフーズ』も新たな試みを取り入れていくつもりだ。

 チームは中盤戦に入って状態を上げ、第24節を終えて7位に浮上した。長澤徹監督は「昨年と雰囲気が違うんです」と言い、苦しい序盤戦を支えてくれたサポーターに感謝する。「出来の悪い息子を一生懸命応援してくれるようなそういう雰囲気があって、なんとか(赤嶺)真吾がいない中でも勝ち点を積み上げられた」と。

 スタジアムの温かい雰囲気に支えられてチームは着実にステップを昇り、クラブもサポーターも一体となってスタジアムの熱量を高めている。今季の終盤戦もシティライトスタジアムで起きるドラマは劇的なモノになりそうだ。

RANKING

タグマ! RANKING

    RECOMMEND

      Facebook