破竹のリーグ8連勝。柏レイソル、絶好調の要因とは?

直近のリーグ戦ではAFCチャンピオンズリーグ8強進出チーム・浦和レッズを破り、8連勝を飾るなど柏レイソルの快進撃が止まらない。2011年にJ1昇格即J1制覇を成し遂げた当時をも想起させる絶好調の要因は何なのか。太陽王の番記者【柏フットボールジャーナル】の鈴木潤氏が絶好調の要因を詳報する。


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▼分岐点は第3節・川崎戦での敗戦

 J1第3節・川崎フロンターレ戦で1-2と敗れるなど、前節のガンバ大阪戦から連敗となったときには、間違いなく柏レイソルは危機的状況にあった。

 その前年に記録したリーグワースト8位である失点数を減らすために、シーズン始動からキャンプにかけて守備の立て直しに取り組んでいたが、その成果が見られるどころか、開幕3試合で6失点と守備は崩壊傾向に陥っていた。

「ゾーンで見過ぎて、相手に前でボールを触らせれば良いというディフェンスになっている。誰かが人に行くという強さがG大阪戦から改善されていない。ボールホルダーに対して自由を与えないこと、それがプレッシャーだと思う」

 これは川崎戦後の栗澤僚一の言葉である。同様に大谷秀和、武富孝介もまた、チームの守備に対して試合直後には厳しい言葉を述べて、改善の必要性を説いた。

 今季、柏にはベガルタ仙台からハモン・ロペスが加わり、クリスティアーノ、ディエゴ・オリヴェイラと強力なブラジル人トライアングルが誕生した。そこで引き気味に守備陣形をセットし、奪ったボールを素早く攻撃へ転じることで、前線3人の破壊力を生す狙いがあった。しかし先述のとおり、この守備戦術が機能せず、序盤の柏は大いに苦しんだ。

 だがいまになって思えば、この川崎戦の敗戦が一つのターニングポイントだった。

「自分たちから守備のアクションを起こしたい」

 選手側から挙がった声に下平隆宏監督は耳を傾け、次のルヴァンカップ・グループステージ第1節の清水戦では、2トップを組んだ中川寛斗と大島康樹の特徴を踏まえ、守備の仕方を変える。それまでの自陣にリトリートした"待ち構える守備"から、前線からアグレッシブにプレスを仕掛けて"奪いにいく守備"へと切り替えたのである。結果、躍動感と爽快感に満ちたパフォーマンスを随所に披露し、1−0で勝利したチームは公式戦の連敗を止めた。

▼"苦肉の策"が上昇気流に乗る契機に

 もう一つ、柏が復調した要因に、ビルドアップの飛躍的な改善が挙げられる。昨季までパスの供給源だった茨田陽生(現・大宮アルディージャ)と秋野央樹(現・湘南ベルマーレ)がそろって移籍し、その影響もあって開幕当初はパスがスムーズに回らなかったのだが、ルヴァンカップグループステージ第1節・清水エスパルス戦で鮮烈なデビューを飾り、その活躍が認められてリーグ戦でも出場機会をつかんだ若き左利きのパサー・手塚康平がボランチの一角に定着すると、柏が得意とする縦と横幅を使ったスムーズなビルドアップがよみがえった。

 それらの状況を経て、最終的に連勝の引き金となったのは、下平監督の"苦肉の策"とも呼べる采配である。

 第7節のヴィッセル神戸戦、ディエゴ・オリヴェイラの負傷欠場に伴い、クリスティアーノを1列前に上げて中川と2トップを組ませた。

「思った以上のものをクリスティアーノが発揮してくれた」

 試合後に指揮官がそう言って労ったとおり、クリスティアーノは中川とともにハイプレスをかけ続け、攻撃でも相手ディフェンスの背後やサイドのスペースへ流れて起点を作った。さらに中盤左サイドに入った大津祐樹も献身的に守備をこなしたことで、チーム全体の守備が安定感を増し、「良い守備が良い攻撃へつながる」というサイクルを生み出した。後半アディショナルタイムに、その時点で首位に立っていた神戸を大津の劇的ゴールで下した柏は、ここから上昇気流に乗った。

 もちろん、絶体絶命のピンチでビッグセーブを連発し、チームを幾度となく救う守護神・中村航輔の存在も忘れてはならない。「柏の連勝は中村の力によるものが大きい」とも言われる。ただ、松本拓也GKコーチによれば、フィールドプレーヤーが90分間サボらずに走り、プレスをかけ続け、球際でも戦う仲間たちのプレーに中村のほうが引っ張られているという。

 この8連勝中、喫した失点はわずかに4、完封は5試合。開幕3試合で6失点を喫した面影は、そこにはない。

 この連勝により柏は首位に立った。この好調により、2011年以来6年ぶりのリーグ制覇への期待が、高まる。しかし煽り立てる周囲に対し、むしろ選手たちのほうが冷静だ。

「まだ何も成し遂げたわけではない。これから苦しい時期は必ず訪れる。1試合1試合目の前の試合にどれだけ懸けられるだと思う」(大谷)

 連勝をしても自分たちを見失わない。この先も、地に足をつけて柏は進んでいく。


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