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テーマ早くも見えてきた(?)残留争い。低迷各クラブに浮上への秘策を問う

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サイモン・クーパーにインスパイアされたライター・松尾潤

2015 06/09  08:30

ヴァンフォーレ甲府、監督交代という劇薬注入と急浮上のワケ

今季から2ステージ制が採用されたJ1リーグだが、残留・降格のラインはあくまで年間成績で決定される。全34節の内15節を終えた段階で、サバイバルレースの行方も見え始めている。今回の特集では下位に沈む4チームと監督交代により最下位から残留圏に急浮上してきた甲府にスポットを当てていく。まずは今季のJ1で初めて監督交代という劇薬を投入した甲府が急浮上してきたワケを、甲府の番記者・松尾潤が斬る。


▼早期の監督交代が奏功

 第15節終了時点の順位表を見ていて感じるのは、昨季同様に6クラブ前後が長期間巻き込まれ、残留ラインは勝ち点36辺りかなと思いつつも、脱落するクラブがなかなか出なければ40ポイントに近くなる可能性もあるのかなぁと踏んでいる。

 昨季の残留争いは徳島が開幕9連敗を喫し、最初から苦しい立場でシーズンを送ることになったが、今季は甲府が第11節を終えて2勝9敗の最下位となり、同様の立場になる気配は確かにあった。しかし、第11節後に樋口靖洋監督から佐久間悟GM兼任監督への交代劇が起きると、その後はリーグ戦3勝1分で13位まで一気に順位を上げている。甲府の場合は、「圧倒的に弱かった」という状態からの3勝1分であるため、順位こそ13位ながらも、勝ち点差を見れば17位・清水と3ポイント、16位・山形と2ポイント差しかない。残留争いから早々と脱落しそうな状態から、残留争いの正式メンバー入りを果たしただけで、まだまだ借金返済生活は続く。

 監督交代後の4試合で3勝1分という結果は素晴らしく、勝ち点10の獲得は今後の希望と自信につながるものだ。さらに期待の外国籍選手だったアドリアーノ(前・徳島)はなかなかフィットしなかったものの、クラブは5月3日にJ1初昇格に貢献した"恋人"であるドイツ系ブラジル人・バレーを獲得。10年が経てばスピードは当時のままというわけにはいかないが、チームの雰囲気を良くする明るいキャラクターはそのままの上、予想外に足元の技術が高くなって甲府に帰ってきた。

 先発出場した第12節・山形戦(2○0)や第13節・仙台戦(1○0)は、連続ゴールでチームの勝利に大貢献。さらにチームはバレーが開始8分で負傷により交代するというアクシデントがあった第14節・新潟戦も2-0で勝利し、5位・横浜FMをホームに迎えた第15節ではバレー不在で先制されながらも追い付いて勝ち点1をもぎ取るなど、着実に結果を残しながら自信を取り戻してきた。最大の補強となったバレーで2勝し、バレー不在でも1勝1分という結果を監督交代後に残せたことは、残留に向けてポジティブな材料となる。

▼加入3年目の大卒選手が台頭
 甲府浮上の要因は、ファーストステージの序盤からつまずいたことで、早めに選手補強に動けたことや、早期の監督交代による部分が大きい。とはいえ、J1残留を果たすためのベースは、シーズン最初から備わっていた。

 その一つのグループは加入3年目までの大卒選手。下田北斗(専修大)、稲垣祥(日体大)、伊東純也(神奈川大)、橋爪勇樹(山梨学院大)、松本大輝(法政大)、畑尾大翔(早稲田大)、岡西宏祐(中央大)といったメンツがそれに当たるし、甲府のアカデミー出身で、過去2シーズンJ2熊本や愛媛に期限付き移籍して揉まれてきたプロ4年目の堀米勇輝(22歳)が、J1で通用するプレーヤーに成長して戻ってきたことも強みとなった。

 もちろん、樋口前監督が彼らにチャンスを与えてきたという下地はあるが、経験は少ないながらも、ポテンシャルが十分にあった彼らに的確なタイミングやポジションでチャンスを与えた佐久間新監督の手腕も評価されるべきだろう。そして、彼らの獲得のために尽力してきたスカウトや強化部の目利きと方向性が素晴らしかったことも記しておく。

 柏好文(国士舘大)、佐々木翔(神奈川大)が一昨年後と昨年後に広島へ移籍したように、給料がはね上がる20代中盤の主力級の選手を引き留めることも、新たに選手を獲得することも難しい中、若手とベテラン中心のチーム編成になることは避けられない。その中で佐久間監督は早い段階で良いバランスを見付けることができたと言っていい。

 2014年まで3シーズン指揮を執った城福浩前監督が残した守備のベースがあってこその部分もあるし、その手法もうまく受け継がれているが、佐久間監督の個人・グループ戦術の落とし込みは見事にハマっている。決して、ほとんどでき上がった家を買い取って、最後にレンガを2~3個積み上げただけではないのだ。

▼不安要素はベテラン勢のコンディション
 しかし、不安材料もなくはない。例えば、平均年齢が36歳のディフェンスライン(山本英臣・34歳、土屋征夫・40歳、津田琢磨・34歳)や、もうすぐ38歳になるボランチのマルキーニョス・パラナ、チームに欠かせない長身FW盛田剛平(38歳)らベテラン勢は、津田を筆頭にコンディションをよく保ってはいるものの、ギリギリの状態の選手もいる。こうしたベテラン勢がトップフォームに近いコンディションで戦い続けられる保証はなく、酷暑の夏と寒くなる季節にコンディションを保つことは容易ではない。

 もちろん、プロスポーツは年齢でやるのではなく、発揮できるパフォーマンスが重要だが、ベテランになればなるほどコンディション維持が難しくなるのも現実。半年単位の離脱も想定しておく必要があるだろう。

 ウィンドーが再び開けば、サイドでプレーできる選手の獲得や"ガレージに置いたままの高級車"の放出はあるかもしれない。とはいえ、残留への鍵は、アタッカーの中心である阿部拓馬(27歳)や、DF・MFの両方で起用できる新井涼平(24歳)、そして不動の左ウイングバック阿部翔平(31歳)という貴重な中堅層を軸に、若手とベテランの現有戦力を最大限に生かして、バランスを取り続けることができるかに懸かっている。

 各クラブはクラブライセンス制度の基準をクリアするために3期連続の赤字は出せないので、ビッグな余所様の補強が例年より地味になる可能性がある。現時点でバランスが整っている甲府は、「雨降って地固まった」といった立場で残留争いを戦うことができそうだ。

松尾潤(まつお・じゅん)

フリーライター。『キューピー3分クッキング』などの料理番組を片っぱしから録画し、おいしそうで作れそうな料理を選んで習得......するつもりが、録画量が膨大になり過ぎて録画30番組に対して視聴1~2番組の割合になり、外付けHDDが活躍中。朝ドラも同じく、『マッサン』を見終わったのは4月になってからで、『まれ』は約2カ月遅れで見ていて、稀が輪島市役所に就職したところまで見終わった。ただ、WOWOWのテニス4大大会中継だけは生で見る"にわか錦織圭ファン。

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たびびと(IP:49.97.97.233)

まさにその通り。

2015年8月22日 22:29

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