【六川亨の視点】2023年8月19日 J1リーグ第24節 横浜F・マリノスvsFC東京
J1リーグ第24節 横浜FM2(1-1)1FC東京
19:33キックオフ 日産スタジアム 入場者数33,701人
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相撲に例えるなら「がっぷり四つ」と言えるだろう。互いに試合を支配する時間帯があり、スリリングな攻防は2位と10位の対戦とは思えなかった。しかし勝ったのは6月3日の第16節と同様(3-2)横浜F・マリノスだった。接戦となった理由は、FC東京にケガ人が戻って戦力が曲がりなりにも整ったこと。それなりに戦力補強したことに加え、ピーター・クラモフスキー監督が選手の適性を生かした戦術(個の力によるカウンター)を採用したからだった。
とはいえチームの完成度は当然のことながら横浜FMの方が一枚上手だった。先制点を決めた左SB永戸勝也と決勝点のボランチ渡辺皓太は今シーズン2点目だが、けしてフロックではない。守備的なポジションであっても常にゴールを狙っている。横浜FMのスタメンで、今シーズンここまでノーゴールなのはGK飯倉大樹とCBの畠中槙之輔、エドゥアルドの3人だけ。残りの8人がゴールを記録している。FC東京のスコアラーは4人だけで、GKとDF陣4人、ボランチの小泉慶はいまだノーゴールだ。
ボールを保持して波状攻撃を仕掛ける横浜FMと、カウンター主体のFC東京では守備的なポジションの選手の攻撃参加は限られるため、仕方のないデータでもある。FC東京にとってはジャジャ・シルバのヘッドがバーを叩いたり、渡邊凌磨のカットインシュートが左ポストを痛打したりするなど惜しい場面もあった。しかし決めるべきチャンスを決めておかないと、タイムアップ間近やアディショナルタイムでのゴールも多い横浜FMから勝利を奪うのは簡単なことではない。そして横浜FMは、神戸が柏と1-1で引分けたため、第21節以来、再び首位に返り咲いたのだった。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。