【六川亨の視点】2023年2月19日J2リーグ第1節 東京ヴェルディvsツエーゲン金沢
J2リーグ第1節 東京V1(0-0)0ツエーゲン金沢
14:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数6,597人
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昨シーズン6月に就任した城福浩監督は、終盤には6連勝を飾ってJ1昇格プレーオフに出場した6位の山形に勝点3差まで迫った(最終順位は9位)。その間、得点10に対して失点は水戸に喫した1点のみ。ボールを失ったら前線から素早く切り替えてボールホルダーにアタックに行く。その姿勢は2年目となる今シーズンも変わらず、昨シーズンからのJ2連勝記録を7に伸ばすと同時に、無失点試合もシーズンをまたいではいるが6と更新した。
試合はというと、両監督のコメントが端的に言い当てていた。
前半の金沢は「ヴェルディにボールを持たれましたけど、そう決定的なピンチは少なかったんじゃないかと思います」(柳下正明監督)と言う通り、東京Vが5本のシュートを放ったものの決定機はゼロだった。その理由は「ほぼほぼ相手陣内でプレーしていたが、決定的なファイナルサードのところは少しクオリティーが足りなかった」(城福監督)からだった。
ところが後半に入ると「相手が前に出てきたことで後ろのスペースが空いた。そのことでポゼッション率は下がったが、チャンスは増えてきた」(城福監督)のである。そして「ボールに行けない人が行ってしまい、マークの選手がフリーになった」(柳下監督)ため、「主戦場はサイドバックであるが、得点力に注目している。クロスに入っていくタイミングと(ヘッドで)当てる技術がある」(城福監督)という加藤蓮をサイドハーフに起用したことが決勝点に結びついた。
今年もンドカ・ボニフェス(横浜FC)、佐藤凌我(福岡)、染野唯月(鹿島へレンタルバック)ら主力が抜けたが、テクニシャンの齋藤功佑を横浜FCから獲得できたのは明るい材料だ。Jリーグ初代王者も今年でJ2リーグは15年目。悲願のJ1復帰へ、まずは好スタート切れたと言っていいだろう。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。