【六川亨の視点】2021年12月5日J2リーグ第42節 大宮アルディージャvsザスパクサツ群馬
J2リーグ第42節 大宮アルディージャ3(2-1)1ザスパクサツ群馬
13:03キックオフ NACK5スタジアム大宮 入場者数5,581人
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18位の大宮と16位の群馬とのJ2リーグ最終戦。両チームとも勝てばJ2残留が決まるが、群馬は引き分けでもオーケーという有利な状況。さらに19位の相模原の結果と、J3リーグの優勝争いで降格チームが4から3に減る可能性もある、複雑な状況でのキックオフだった。
結果は大宮が3-1の勝利を収めて順位を16に上げ、苦しかったシーズンを締めくくった。勝敗を分けたのは、メンタリティーの差と言える。群馬は開始7分にMF加藤潤也が先制点を決めたが、この1点で早くも守りを固めて逃げ切り態勢に入った。すると大宮の反撃に受け身となり、自陣でのプレー時間が増えていく。16分には右SB馬渡和彰の高速クロスから最後はMF菊池俊介に押し込まれてアドバンテージは消えてしまった。
その後も大宮の攻勢は続き、35分にはまたも馬渡のクロスからMF三門雄大が逆転ゴールを決める。ところが群馬の久藤清一監督は動こうとしなかった。なぜなら前半17分に相模原が失点したため、この試合に敗れてもJ2残留が決まるからだ。久藤監督は東京V対相模原戦の途中経過を「ベンチで聞いていたけど選手には伝えていなかった。(知っているのは)コーチ陣だけです」と話したものの、逆転されても動こうとしないベンチを見て、選手も「この試合は引き分けに持ち込まなくてもいいんだな」と感じたとしても不思議ではない。
試合は大宮が3-1で勝利し、相模原は東京Vに0-3と完敗したため群馬もJ2残留が決定した。両チームともシーズン中に監督を交代したが、それは松本や愛媛、相模原も同じこと。明暗を分けた理由は様々だろうが、終盤戦のドローによる勝点1の積み重ねが両チームを残留に導いたと言ってもいいのではないだろうか。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。