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【六川亨の視点】2024年5月26日 J1リーグ第16節 浦和レッズvsFC町田ゼルビア

J1リーグ第16節 浦和1(0-0)2町田
16:03キックオフ 埼玉スタジアム2002 入場者39,460人
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前半は互いに守備に重点を置いたため、両チーム合わせてシュートは3本とゴール前の攻防はほとんど見られなかった。町田は元々、労を惜しまない献身的な守備が持ち味のチーム。今季6ゴールのオ・セフン、5ゴールの藤尾翔太と藤本一輝の3トップは破壊力も持ち合わせているが、さらにベンチにはナ・サンホ、エキリ、ミッチェル・デュークの3人が控えている。ただ、スタメンの3人に加えてエリキやミッチェル・デュークを起用すると、自慢の守備が崩壊してしまう危険もある。このため黒田剛監督は「ミスが多かったのと平河は止められていた」ことから、後半開始と同時に藤本に代えてナ・サンホを送り出した。そして「デュークとエリキをどのタイミングで入れるか模索した」と振り返る。

 

指揮官が動いたのは後半13分のこと。まずオ・セフンに代えてミッチェル・デュークを、さらに28分、藤尾に代えてエリキを投入する。ただ、同じポジションとはいえ2人とも“個”で勝負するタイプだけに、そう簡単に局面を打開することはできない。この時点ですでに交代枠は4人使っていて、「あと1枚、何が起こるかわからないのでとっておき、最後に高さのあるヘンリー(望月ヘンリー海輝)」を右SBに起用した。この交代策が実ったのが後半アディショナルタイム45+4分の攻撃だった。右サイドからカウンターを仕掛け、ナ・サンホがアレキサンダー・ショルツのファウルを誘いPKをゲット。これをレフティーのボランチ下田北斗が強烈に突き刺して接戦を制した。

 

敗れた浦和は「ウイングは1対1で抜ける特別な力を持っている」とマティアス・ヘグモ監督が評価する中島翔哉が負傷でベンチ外だったのは痛かった。それでも後半はこの日がJリーグデビューとなった左FWオラ・ソルバッケンに代えて酒井宏樹を抜擢。酒井を右SBに、右SBの石原広教を左SBに、左SBの渡辺凌磨を左FWにコンバートするなどして優勢に試合を進めていた。両監督のベンチワークの違いを楽しめた試合であり、現時点での総合力で町田が首位を堅持した一戦だった。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。