【森雅史の視点】2024年4月3日 J1リーグ 第6節 FC町田ゼルビアvsサンフレッチェ広島
J1リーグ第6節 町田 1(0-1)2 広島
19:03キックオフ 町田GIONスタジアム 入場者数5,240人
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町田の転機になる試合になったのではないだろうか。
広島の実力を十分に認識していた町田は、首位という奢りは一切見せず、リスクを徹底的に排除したサッカーで対抗しようとした。ボールを奪うといつもに増して前線のオ・セフンめがけてボールを送るか、平河悠の突破力に期待する。だが広島はその2パターンに対する対策をしっかり講じていた。さらに町田が早めに蹴ることによって中盤が間延びすることを利用してセカンドボールを支配する。そのため広島の攻撃ターンがずっと続くという前半になった。
町田の反撃が力強くなったのは58分。昌子源に代えて鈴木準弥を投入して4バックに移行してから。もっとも、それまでに2点を失っており、82分にロングスローからのオウンゴールで1点を返したものの、同点にまではたどり着けなかった。チームの熟成度、相互理解の深さにおいて広島のほうに1日の長があったのは間違いない。
だが、これが町田の限界だったかというと、そう考えるのは早計だろう。というのも、もっと別の戦い方も出来るようなトレーニングも積んでいるからだ。実際、2023年はJ1昇格を決めたあと、中盤で細かくパスをつないでいくスタイルを披露していた。ここまで5試合は徹底的に危険性を排除し戦いを見せていたが、ここから先はリスクを取らなければ勝点も奪えないという戦いが待っている。練習を見ていると、町田にはその準備が出来ているように見える。また、今のうちに問題点を抽出し、移籍期間で解決しようとするだろう。その両方を考えると、このまま町田がズルズルと沈んでいくのは考えにくいのだ。そしてそういうきっかけになったのがこの試合だと後に言われるような、それくらい差がくっきり見えたゲームだった。
森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート