【審判批評】W杯アジア最終予選 日本代表×UAE戦で利用すべき新ルールとは?
2016 09/01 09:30
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今回は審判批評を中心としたWEBマガジン「石井紘人のFootball Referee Journal」から日本代表×UAE戦に関する記事になります。
【無料記事/コラム:ルール解説】W杯アジア最終予選 日本代表×UAE戦で利用すべき新ルール(石井紘人のFootball Referee Journal)
2016年09月01日更新
本日19時35分、FIFAワールドカップ2018ロシア大会出場を目指す日本代表のアジア最終予選が、ホームの埼玉スタジアムからスタートする。初戦となる相手はアラブ首長国連邦(UAE)代表。90分の試合のなかで、日本代表が攻められる時間も当然生まれる。そこで選手たちが意識すべきなのは、今年6月1日から改正されたLaws of the gameである。
サッカーファンはご存知のように、今年の6月1日にLaws of the gameが大幅に改正された。日本サッカー協会審判委員長の小川佳実氏が、「今回の競技規則改正ですが、本当に全面改定です」と評したように、新ルールといっても過言ではない。
その新ルールを選手たちが正しく理解していれば、アドバンテージを得られるシーンがおとずれる可能性がUAE戦にはある。それは、日本がカウンターを受け、バックラインの裏をとられた時である。
新ルールになる前を分かりやすく例えると、ディフェンスラインの裏をとられ『守備側競技者の位置と数』がGKしかいない状況で、『反則とゴールとの距離』が近く、オフェンスが『ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性』があり、『プレーの方向』がゴールに向かっている場合は【得点の機会阻止】でファウルをした選手は一発退場となっていた。
しかし、新ルールでは、『ペナルティーエリア内』であれば『次の場合を除き警告される』という一文が加えられた。
・相手競技者を押さえる、引っぱる、または押す反則の場合
・反則を犯した競技者がボールをプレーしようとしていない、または、その競技者がボールに挑む可能性がない
・反則がフィールド上のどこであってもレッドカードで罰せられるものであるとき(例えば、"著しく不正なプレー""乱暴な行為"など)
・得点の機会阻止につながるハンドリング"
以上の項目を除いたファウルであれば、【得点の機会阻止】となっても一発退場にはならない。それが、どのようなファウルになるかというと、一生懸命プレーするなかで起きてしまったペナルティーエリア内での【得点の機会阻止】に該当するファウルといえる。
そう考えると、UAE戦で日本代表がバックラインの裏をとられ、GKとUAE選手が一対一の状況になってしまった場合、日本代表のフィールドプレーヤーはファウルで止めにいくのではなく、ゴールを防ごうと待ち構えているGKにプレーさせる選択をした方が利益を得られる可能性がある。小川氏も「2016/2017 競技規則改正 記者説明会」にて
「(ペナルティーエリア内における決定的な得点の機会の阻止の変更で)GKはより積極的にボールにプレーできるようになります。今までは、GKは引っかけてしまって得点の機会阻止で退場になるリスクを考えなければいけなかった。ですが、今回のルール改正で、躊躇せずにボールにいけるようになります」
とアナウンスしていた。もちろん、GKがあきらかなファウルをすれば今まで通りに退場になるのを忘れてはいけない。ただ、バックラインの裏を取られた状況では、GKの方がボールにプレーできる可能性は高い。
そのようなピンチが起こらないのがベストではあるが、万が一の時には、先発する可能性が高い西川周作選手にプレーをゆだねた方が新ルール的にはベターである。
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