【水戸】城里町に新たな練習拠点!『七会中学校跡地の見学会』が開催(写真多数)
2016 04/13 08:35
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今回は水戸ホーリーホックを中心としたWEBマガジン「デイリーホーリーホック」から七会中学校跡地に関する記事になります。
【HHレポート】「城里町に新たな練習拠点!七会中学校跡地の見学会が開催」 (2016/4/12) ※無料記事(デイリーホーリーホック)
2016年04月12日更新
広大なグラウンド。縦に2面ピッチを設置する予定です。正面の山肌まで城里町が管理しています。
【写真 米村優子】
水戸のクラブハウスや新グラウンドを中学校跡地に建設する計画が浮上
水戸ホーリーホックが練習拠点の移転先として調整中の城里町小勝(おがち)の旧七会中学校で4月10日、同町主催の見学会が開かれました。
ホーリーホックの練習拠点であるホーリーピッチは度重なる那珂川の氾濫の被害を受け、名目上のクラブハウスと選手寮は茨城県の施設を借り受けている状況。 しかも昨季から「1面以上の天然芝のピッチに隣接したクラブハウスの保持」がJ1ライセンス取得の条件に追加され、KSスタの座席数だけでなくピッチとクラブハウスに関する問題も解決しなければ、たとえJ2で優勝してもJ1に昇格できない現状があります。 もちろん水戸ホーリーホックの本拠点は、その名が示す通り水戸市。クラブは同市内の移設先を探していましたが、場所の確保やクラブの懐事情の課題があり、移設計画は暗礁に乗り上げていました。
グラウンドから見た校舎。大きなテラスがある立派な施設です。
【写真 米村優子】
ロッジのような雰囲気の旧七会中学校。
【写真 米村優子】
一方、水戸ホーリーホックのホームタウン推進協議会の一つである城里町では、旧七会村地区にある七会中学校が生徒数の減少により、昨年3月に廃校となりました。 平成9年9月に約22億円を投じて移転改築された同校は、自然豊かな土地を活かした開放感溢れる立派な施設。 町が実施した住民アンケートによると、旧七会中学校を企業への売却や取り壊しをせず、町民もスポーツ、文化活動、イベント等を楽しめる「地域活性化の拠点」「地域防災の拠点」として活用することを多くの住民が望んでいることがわかりました。 地元住民のクラブ活動などで体育館は現在も活用されていますが、校舎やグラウンドは未だ手付かずの状態。旧七会村地区は人口2000人を切る程の深刻な過疎化が進み、維持管理費等の財政負担についても町は頭を悩ませていました。 そんな中、タイミング良く、両者の思惑が一致。 水戸のクラブハウス、グラウンドを移転、城里の地域住民と共同で施設を利活用し、スポーツ文化を通じて地域活性化を図ろうと、城里町とホーリーホックで計画が進められているのです。
ふもとにあるテニスコート。こちらに第3のピッチを作ることも可能です。【写真 米村優子】
音楽室
【写真 米村優子】
夏場はクールダウンに活用できそうな屋外プール。
【写真 米村優子】
旧七会村地区の支所や公民館も移転。クラブと町民が共用する施設に
この日、同町から上遠野修(かとうのおさむ)町長、小野瀬篤郎副町長、同町財務課の職員ら、ホーリーホックからは沼田邦郎社長、事業部の薗部光章部長らが出席。 七会中学校の跡地利活用の構想案、整備案、その事業効果や今後のスケジュールなどの概要説明した後、参加したホーリーホックサポーター、地元住民、同町議会議員ら45人が校内や体育館の見学を行いました。
丘の上にあるのが旧七会中学校の校舎とピッチです。写真右の緑のフェンス内にテニスコートがあります。.
【写真 米村優子】
まず、城里町の七会中学校利活用の構想案が発表されました。 配られた資料によると、校舎部分をスポーツ棟、行政・文化棟に分割して、125m×110mのグラウンドには天然芝サッカーコート2面を設置します。 グラウンドはスプリンクラーなどのかん水設備、天然芝、防球ネットを設置。 スポーツ棟にはロッカー室やシャワー室、マッサージ等をするメディカル室、選手ラウンジ、事務所やスタッフ室、ミーティング室、レストラン(食堂)、ショップ、マスコミ等が使用するメディア室、町民も併用できるトレーニングジム、体育館内には防災資機在庫の整備が予定されています。 そして、行政・文化棟には老朽化した城里町役場の七会支所と七会公民館を移設し、事務室、会議室、各種講座室、会議室、研修室、図書室を設置。バリアフリー化するため、ハンディキャップのある人、高齢者なども気軽に利用できる施設となります。
校舎とグラウンドの周囲をぐるりと囲む町道。オーバルコースになっているため、フィジカルトレーニングに活用できそうです。
【写真 米村優子】
上遠野町長は「ホーリーホックは練習環境が整っていない。KSスタのようなきちんと管理された芝で練習すれば、もっと成績も上がるのではないかと思います。城里町としては、そういった環境を用意したいと考えています」と話し、「たくさんのホーリーホックファンの方が城里町の良さを知り、買い物や温泉を楽しんで帰って貰い、色々な交流する中で城里に住んでみたいと思える方が増えることが究極の目標。旧七会中学校は城里町が持っている最大の資産。素晴らしい設備を見学し、完成後もできるだけ頻繁に訪れて貰いたいと思っています」とサポーターらに呼び掛けていました。
校舎正面。裏手に駐車場や校舎入口があります。
【写真 米村優子】
校舎内にあるホール。グランドピアノがあり、コンサートなども開催できそうです。
【写真 米村優子】
柔らかな光が降り注ぎ、木の温もり溢れる校内。
【写真 米村優子】
「すごく立派」「思ったよりも新しくてキレイ」と想像以上の施設、設備に驚きの声
旧七会中学校の建物敷地は12,169㎡、グラウンド敷地18,948㎡、テニス場敷地5,535㎡、入口の階段周辺の法面1,613㎡で合計は38,265㎡。 ちなみにケーズデンキスタジアム水戸の敷地面積は約94,300㎡ですので、なかなかの広さを有しています。 周辺は森に囲まれ、グラウンドに立つと鳥のさえずりだけが響き渡るようなのどかな山間地域。町役場の職員によると、「夏もそれほど暑くならない所」とのこと。 丘のような場所に校舎やグラウンドがありますが、こちらは土を積み重ねた盛土ではなく里山を切り開いた切土なので、地震に強い地盤であることもポイントです。
職員室。放送設備は稼働確認済み。
【写真 米村優子】
施設見学は2階の音楽室からスタート。 教室や廊下に木がふんだんに使用され、山小屋のような温もり溢れる雰囲気が漂っていました。 美術室、被服室、1階ホールや職員室、体育館、金工室や木工室などを見て回りましたが、どこもカビ、ヒビ割れなどの老朽化はほとんど見られず、水戸サポーターらは「すごく立派」「思ったよりも新しくてキレイ」と想像以上の施設、設備であることに驚いていた様子でした。
水戸から県道51号を茂木町方面に向かい小勝の交差点を左折。県道112号を約4km進むと旧七会中学校へ。
【写真 米村優子】
今回の見学会に参加した水戸サポーターの後藤友実さん(水戸市在住、製造業、36歳)は「結構しっかりした施設だった。これから練習見学が大変になるかもしれないけれども、環境が整ってチームが強くなり、クラブが大きくなることが大事。しっかり練習するためには、拠点移設はいいことだと思います」。 水戸サポ歴約3年目の大川景子さん(水戸市在住、サービス業、29歳)は「最初は『なんで城里に?』『遠い!』と思っていましたが、実際来てみたら自然豊かな町の雰囲気も良くて、そんなに時間もかからなかったです。思ったよりも広くてキレイでいい施設。集中して練習できる環境が整うのではな
いかと思います」と話し、計画に好意的な意見が多く聞かれました。
多くの水戸サポーターが詰めかけた説明会会場。
【写真 米村優子】
中庭にはあずま屋も。選手達の休憩所にもなりそうです。
【写真 米村優子】
調理室。ガスコンロやガスオーブンがそれぞれのテーブルに設置されています。
【写真 米村優子】
平成29年度中の工事完了を目指して計画が進行中
そして最後は質疑応答の時間が設けられ、改修工事の工期や建設費、運営方法などに関して城里町への質問が相次ぎました。 Q.平成29年度までに改修工事を終える予定? 「来年6月頃に芝を植え始め、平成29年度中に完成したいと考えている。出来る部分は先行してやっていきたい」 Q.城里町とホーリーホックはどのような比率で施設の運営をしていくのか? 「まだ具体的に決まっていない。町としては、芝の管理についてホーリーホック側に任せるのが理想的と考えている」 Q.この計画に対しての城里町民の意向は? 「この計画に関する住民懇談会では、町民から拍手が起こり、賛同していると町では捉えている」 Q.旧七会村地区は交通の便が悪いが、公共交通の対策は? 「水戸方面からは、石塚(城里町の中心地)で乗り継いで、バスで来ることができる。今後、関係各所と改善策を打ち出していきたい」 Q.設計は既にスタートしているのか? 「まだスタートラインに立った所。今年3月にアントラーズの施設を視察して、ある程度は町として考えているが、公民館やホーリーホックとのすり合わせはこれから」 Q.設計士はスポーツ施設建設などの実績のある人が担当するのか? 「今の段階では地元の設計士。今後、検討したい」 Q.本計画について七会村地区以外の住民懇談会が実施されていない。 「新聞各社に掲載され、ある程度の内容を知っている住民も多い。町全体には5、6月に説明会を開く予定」 Q.本計画の事業費の概算は? 「約1億5000万円から2億5000万円。防火設備や空調設備、グラウンドのかん水設備などの費用で上下する可能性があるため幅がある」 Q.補助金はどのようなものを使うのか? 「グラウンドの芝生化には約6000万円かかるが、その内の約4000万円はtotoのスポーツ振興基金と助成事業を活用したい。本体的な整備については合併特例債などを活用する目途は立っている」
天井高の開放的なホール。さまざまなイベントに活用できます。
【写真 米村優子】
城里町では今年2月に議会でこの計画案の説明があり、2月26、28日に旧七会村地区で住民懇談会を開催。3月には城里町町議会で設計費に関する予算審議が14対1で可決されました。 今年6月までに議会の承認を得て、水戸ホーリーホックと覚書締結、部屋割り等の設計を完成させ、9月に建設費の概算を算出、来年の1月に補助申請や入札を行い、平成29年度中の工事完了を予定。 城里町はこの事業を通じ、支所や公民館の統合整備による財政負担の軽減や新たなコミュニティ拠点の形成、防災活動拠点としての機能維持、町のPRや住民との交流の促進、雇用の増加、ホーリーホック関係者の移住による人口増加、町民がトレーニングジムでスポーツ専門指導員の指導を受けられることが可能になる効果を期待しています。 城里町財務課の小林克成さんは「見学会の参加者のほとんどが水戸サポーターでしたが、建物自体にはいい評価を貰い、特別、非難的な話もなかったように思えます。しかし質疑応答にも出た交通の便は心配している所。アクセス面も改善していきたいです」と述べ
ていました。
入口付近にはトロフィー、賞状を収納するケースも。
【写真 米村優子】
被服室。
【写真 米村優子】
美術室。
【写真 米村優子】
約20試合を観戦したという上遠野修町長は「練習環境が整えば、もっとパスで崩して得点するシーンが増えるはず」と期待していました。
【写真 米村優子】
悲願のクラブハウス、整った練習環境、そしてJ1ライセンス取得に向けた第一歩
「非常に有り難い話。天然芝のグラウンド2面を交互に回しながら使えると、今以上に環境が整います。本来のホームタウンは今まで通り水戸なので、市内に事務所を残しつつ、フロントやアカデミーの事務所の一部を城里に移転したいと考えています。クラブの人的資源をフルに活用して、城里町に貢献したいです」とホーリーホックの薗部事業部長。 自然災害に強く、環境が整ったピッチ、クラブハウス建設、そしてJ1ライセンス取得に向けて一歩近付いたホーリーホック。 まだスタート地点に立ったばかりですが、このプロジェクトが成功すれば、クラブとして大きな飛躍を遂げることは間違いありません。
悲願の新練習拠点計画の動向は、今後もデイリーホーリーホックで随時お伝えしていきます!
木工室。選手のロッカールームに予定されています。
【写真 米村優子】
木工室に隣接する金工室は、選手のシャワールームとして改修される予定。
【写真 米村優子】
(米村優子)
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