【情熱の分析家・河治良幸の一言解説】フランクフルトと柴崎岳の相性は? ブンデスリーガ適応への課題とは?
2015 11/21 18:41
フランクフルトが鹿島・柴崎獲りへ!SDゾッコン「すぐにでも大丈夫」(サンケイスポーツ)
ブンデスリーガの古豪、フランクフルトがJ1鹿島の日本代表MF柴崎岳(23)の獲得に乗り出していることが20日、分かった。来年1月の移籍を目指して既に水面下で獲得を打診し、条件面の交渉がまとまり次第、正式オファーを出す見込み。現在リーグ戦12位と苦戦しており、後半戦巻き返しのキーマンとして期待されているという。
情熱の分析家・河治良幸の一言解説
まだ正式にオファーが出されたわけではありませんが、スポーツディレクター(SD)が取材に回答したということは単なる「興味」でないことは確かでしょう。フランクフルトは現在、日本代表キャプテンの長谷部誠が主力として活躍していますが、過去にも稲本潤一、高原直泰、最近では乾貴士が在籍し、欧州の中で最も日本人選手の理解が深いクラブの一つと言えます。
そのフランクフルトで取材した帰りのトラムで現地のサポーターに日本人選手のことを熱弁されたことがあります。特に06−07シーズンで二桁得点を記録して1部残留の立役者となった高原は特別な存在であるようです。そうした成功体験があるだけに、今後も日本人選手が加入すれば期待感を抱きつつも、しばらくは落ち着いて見守ってくれるはずです。
柴崎にとってブンデスリーガは足りない部分を成長させる格好の環境になりえますが、逆にブンデスリーガに足りない部分を柴崎は持っているので、良さをしっかり出しながら並行して足りない部分を伸ばして行く、という流れが理想的だと思います。フランクフルトの町は基本的に何でもそろっていますし、日本やアジアの主要都市から直行便もあり、日本代表に選ばれたときの移動の負担も比較的少ないのは利点です。
少し心配なのは、恐らく毎試合コメントを求められること。日本ではチームの一員として話したくない時にミックスゾーンを素通りしても、チームの誰かしらが対応してくれますが、ドイツではまさに柴崎に取材するために日本人のメディアが集まります。もし対応しなければ、そのことを記事にされます。そこで語るか語らないかは選手のスタンス次第ですが、よりメディアの力が強く、振る舞いが目立つ環境に身を置くということで、ある程度の覚悟は必要だと思います。
ブンデスリーガで学ぶべきものが大いにあるとしても、プレーは間違いなく通用するものがありますが、色んな意味で環境の変化に適応していけるか。言葉もそうですし、海外の環境では全てが冒険です。それを楽しめるか、苦しいと思うかでキャリアも大きく違ってくるでしょう。もちろん現在は鹿島の選手なので残留、他からのオファーの可能性を含め、どういう決断になるにしても、今後の展開を見守りたいところです。