【情熱の分析家・河治良幸の一言解説】40歳の代表GK。トップレベルを維持して栄誉をつかんだある男について
2015 11/17 15:39
ハンガリー代表守護神が最年長記録樹立へ 欧州選手権史上初の40代出場目指す(Soccer Magazine ZONE web)
ノルウェーとのプレーオフを制し、44年ぶりとなる欧州選手権(EURO)出場権を獲得したハンガリー代表。かつては「マジック・マジャール」の愛称で鳴らし、1954年のスイス・ワールドカップ(W杯)で準優勝の経験がある古豪が欧州の舞台に返ってくる。
情熱の分析家・河治良幸の一言解説
ハンガリーは44年ぶりのEURO出場。旧ソ連の侵攻をうけた1956年のハンガリー動乱から、古豪がここまで復活してくるには長い道のりがあったと思います。また元代表GKのフロップが32歳という若さで病に倒れ亡くなったこともあり、その悲しみを乗り越えての出場にもなりました。
その躍進を後方から支えたのは現在39歳のGKキラーイ・ガーボル。20代の大半をヘルタ・ベルリンでプレーし、ベルリンの伝統クラブをUEFAチャンピオンズリーグに導くなど一時代を築きました。日本でも古い海外サッカーファンの間では灰色のトレーニングパンツが話題になったものですが、練習熱心なことでも知られた選手です。
EUROの本大会に出場となればローター・マテウスの持つ最年長出場記録を抜くわけですが、選手寿命が長いと言われるGKでもトップレベルをここまで維持するのは大変なことです。コンディションが良い状態であり続けることも大事ですが、精神的に若い選手たちを支えるメンタリティやパーソナリティを身に付けていることも、代表チームでの信頼を失わない理由でしょう。
多くのGKにとって40歳というのはプロとして現役を続ける上での一つの指標になっているようです。川島永嗣は40歳になったときにどういう選手になっているかをイメージして、しばらく所属クラブがない現在でも地道にトレーニングを続けているはずです。
また40歳という“キーワード”はFC東京の権田修一もしばしば口にしており、現在は戦列から離れていますが、困難を乗り越えて良い状態で再び長いキャリアの道に復帰してくれることを願ってやみません。
キラーイの活躍は世界中の頑張っているGKたちの励みにもなるはずです。本大会では彼のトレードマークである“トレパン”をはいて観戦に訪れるファンもいるかもしれませんね(笑)。