Jクラブから更なる注目を集めるU-22代表主将・遠藤航はどのような選手なのか?(暴れん坊は安全運転・隈元大吾による一言解説)
2015 11/09 18:30
U-22代表主将・遠藤航選手が多くのJリーグクラブから来季の動向について注目を集めています。
今回、J論では長く湘南ベルマーレを追いかける隈元大吾氏による遠藤航選手の解説記事を掲載します。
【暴れん坊は安全運転・隈元大吾による一言解説】
1対1や球際に強く、空中戦も譲らない。相手FWと渡り合い、倒れずに奪い切る体幹も鍛えている。攻撃に目を遣れば、もともとの持ち味である鋭い縦パスに加え、ポジションを超越した湘南のチームづくりと相俟って攻め上がりも格段に増し、クロスやシュートまで持ち込む場面は少なくない。守備力と攻撃力を高い次元で兼ね備える遠藤航である。
もちろん、一朝一夕に手に入れた特長ではない。
「遠い夢が自分のなかにあって、そのために何をすべきか、中学や高校ぐらいから自分のなかでずっとイメージができていた気がします。達成するための逆算ですよね」
プロになりたい。日本代表に入ってワールドカップに出場したい。昔から思い描いてきた夢に近づくための布石は、さかのぼれば10代の頃に辿ることができる。ヘッドアップしてボールをコントロールする、現在の特長のひとつであるビルドアップに不可欠な基礎技術は中学時代から磨いた。湘南ユースの頃は、線を太くするべく体づくりに励んだ。高校3年の2010年には2種登録でJ1の戦いを肌で知り、フィジカルをあらためて見直し、怪我で初めて長期離脱を経験した2013年には下半身の強化や体の使い方の改善にも取り組んだ。
ユースからトップチームに昇格し、着々と頭角を現していくのとシンクロして、年代別代表でも常連となり、来年のリオ五輪出場を目指すU-22日本代表ではキャプテンを務める。また今年8月の「EAFF東アジアカップ2015」では自身初のA代表入りを果たし、3試合にフル出場すると、9月の「2018FIFA ワールドカップロシア アジア2次予選」にも海外組とともに招集され、アフガニスタン戦では途中出場も記録した。
初めてA代表に選ばれた際の言葉に、歩んできた道のりと遠藤の心根が滲む。
「選んでいただけたのはもちろん僕だけの力ではありません。ユースから所属しているベルマーレ、小学校のチーム、中学校の顧問の先生、高校の担任の先生、教えてくれたひとたちや一緒にプレーしてきた選手、もちろん家族やサポーターの皆さんなど、いろんなひとの支えがあってサッカーを続けることができた。そうやってつねに支えてくれた方々に、ほんとうに感謝しています」
湘南では3バックの右でおもにプレーしているが、ポジションを超えて攻守を補完し合うスタイルも活きていよう、五輪代表ではおもにボランチを、A代表では右サイドバックやボランチを託されている。「ボランチもセンターバックとしてもA代表クラスの選手になって、レベルの高いなかでも周りから信頼されるプレイヤーになりたい」と志は高い。
来る「2018FIFA ワールドカップロシア アジア2次予選」シンガポール代表戦とカンボジア代表戦に向け、再び日本代表メンバーに選ばれた遠藤は、再選出の喜びをかみしめつつこんな言葉を寄せている。
「前回ワールドカップ予選で少し試合に出させてもらったことで、より試合に出たいという想いは強くなっています。次はしっかりスタメンで出られるようにトレーニングから臨み、チームの勝利に貢献できるように頑張りたい。しっかりとA代表で試合に出て結果を残し、いい形で五輪の最終予選にも臨みたい」
これまで一歩ずつ着実に階段を上ってきたように、その歩みはこれからも高みへと続いていく。この先に広がるまだ見ぬ景色に、観る者も期待を抱かずにはいられない。