ペトロヴィッチ監督(浦和)会見『両チームが全力を尽くした、素晴らしいゲームだった』 J1【FC東京対浦和】
2015 10/25 07:02
2015年10月24日(土)14:00KICKOFF/味の素スタジアム/38,952人
FC東京 3-4 浦和
得点者:11' 柏木 陽介(浦和)/14' 武藤 雄樹(浦和)/16' 東 慶悟(FC東京)/27' 関根 貴大(浦和)/62' 槙野 智章(浦和)/74' 高橋 秀人(FC東京)/84' 高橋 秀人(FC東京)
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○ペトロヴィッチ監督
「恐らく、みなさんには想像がつかないと思うが、これだけストレスのあるゲームの後に試合についてコメントするのは難しいもの。1試合に7ゴールが入った、非常にスペクタクルな、良いゲームだったと思う。見に来られた方は、非常に満足できるゲームだったと思うし、特に勝ったほうを応援していたサポーターは満足度が負けたチームよりも少し多い試合だったと思う。トータルしてみても、両チームにとって素晴らしいゲームだったのは間違いない。私が見た限りでは、75分までわれわれのチームは非常に運動量が多くプレーできていた。相手は途中で何度かシステムを変えていたが、それに対してもしっかり対応しながら、素晴らしい攻撃をして、試合をコントロールできていたと思う。2失点目をしてからは、選手たちが若干怖がったのか、ボールをつながなくなってしまった。運動量が落ちたことが最初の理由に挙げられると思うが、その中で2失点目をして、選手たちが怖がってしまい、つながずに長いボールを蹴るような戦い方になってしまった。そういう展開になり、相手の得意とするところである、長いボールを蹴り、そこからわれわれが押し込まれるという状況が続いてしまった。日本では4-1とリードする展開になると、選手たちがさらに攻撃に行き、点を奪いに行く姿勢が、緩まってしまう。なぜそうなってしまうのか、そこのところを私も非常に考えているし、そこに対する取り組みをしている。ドイツ人はそういう状況の中でも、5点目、6点目を狙う、取れるなら10点でも取る、それくらい相手をとことんまで打ち負かすメンタリティーを持っている。私は自分たちの選手にもそうしたメンタルを持ってほしいと思っている。ボクシングの戦いの中で、ある選手が相手を殴り、パンチが効いたような状態になったら、そのボクサーは間違いなく、追い打ちをかけて相手を倒しにいくだろう。私はサッカーも同じだと思っている。4-1のあと、相手をとことんまで打ちのめしにいく姿勢が必要だと思う。今日対戦した相手は、非常に素晴らしく、強いチームであるFC東京だ。その相手から3ポイントを取れたことに関しては、満足しなければいけない。ただ、このゲームをもって次のゲームに向け、われわれは反省していかなければいけないのも確かだ。次に対戦するのは、Jリーグでも最も攻撃力のある川崎F。その川崎Fに対して、われわれがどういう戦いをしていくのか、この試合を反省して、生かしていかなければいけない。私からのお願いは、この後、『なぜレッズが3失点したのか、FC東京は4失点したのか』という質問をしないでほしいということだ。7点も入るようなゲームは稀だと思う。両チームが全力を尽くした、素晴らしいゲームだった。それを、見ている方々は単純に楽しんでいたと思う。私は昨日の会見でもコメントしたが、われわれは年間で最も多く勝ち点を取ったとしても、チャンピオンではない。だからこそ、『必要以上に力み、プレッシャーを感じてプレーするのは止めよう』と選手たちに伝えた。われわれはチャンピオンシップに出場することは決まっている。だからこそ、思い切って自分たちのサッカーをしようと。それができたのが今日のゲームだ」
Q:後半、相手の中島選手のプレーがレッズの守備に多くの問題をもたらしていたが、彼をどう止めようと考えていましたか?
「中島選手は、河野選手と似ているタイプの選手だと思っていた。われわれが河野選手を消せたのは、そのときのわれわれが運動量を保ちながら、球際で勝っていたことだ。中島選手は非常にテクニックがある。そういう選手がフレッシュな状態で途中から入ってきて、われわれがそれまでのゲームの中で疲れているような状況で対応することになれば、決して簡単なことにはならない」
Q:27分の関根選手のゴールのあたりで、守備の選手を何人か呼んで、大きなジェスチャーで指示を出していたようですが?
「後半の残り15分でも、私は選手に同じようなジェスチャーをしていたが、それは見られていなかったのだと思う。私は得点してリードしても、選手たちにはパスをつなぎ、出して動くということを繰り返してやりなさい、ということを伝えた。私の日本語はまだまだなので、ジェスチャーでの指示にはなったが。点差が開いても、ボールをつながないで蹴るだけになってはいけないと思う。その中でしっかりとサッカーをするように伝えた」
Q:あの場面では、守備の選手にも攻撃の指示を出したということでしょうか?
「われわれのチームのサッカーは、後ろの選手の攻撃の組み立てが非常に重要だ。彼らがしっかりとボールをつなぎ、質の高いボールを前に付ける。あるいは後ろから効果的な数的優位の形を作ることが大事。守備の選手だからと言って、攻撃をしなくていいということではない。われわれのチームは、特に後ろの選手の攻撃の組み立てが非常に大事。だからこその指示だ。後ろからの組み立てが良かった間は、FC東京の守備組織を十分に崩せていたと思う」
Q:監督の言うとおり、日本では大きなリードを奪うと足を止めてしまうことについては?
「われわれの守備の基本は、前の3人の選手がファーストDFであるということ。ボールを失った瞬間、彼らがまず相手に対してプレッシャーをかけていくのが基本。それが機能している間は押し上げやすいし、後ろの選手も中盤の選手もコースが限定されている中でしっかりと守備ができる。ただ、そこが緩くなってきたとき、例えば柏木選手が相手選手と競り合っている場面で、その近くで興梠選手がそれを見ていたとき、『なぜ見ているんだ』ということをベンチから言った。前の選手であっても、ボールが自分より後ろにあるような状況であれば、しっかり下がって、味方の選手をカバーしにいかなければいけない。そして、相手がボールを下げるのであれば、そこに出て行く、そういうことを最後までやり切らなければいけない。もしかしたら、それは育成年代の中で、攻撃的な選手はそこまで守備をしなくていい、ということがあるのかもしれない。ただ、ああいう場面では、特に前の選手の守備が非常に大事になってくる。それによって後ろの選手も押し上げやすくなるし、単純に相手をゴールから遠ざけることにもなる。もちろん、日本のサッカーがこれまでそうだったのであれば、そのことを変えるのはなかなか簡単ではないのは分かる。例えば、ヨーロッパと日本の違いとして、毎回、激しくトレーニングをするのがヨーロッパ。その中でお互いに削り合えば、感情的になり、殴り合いになりそうな場面もたくさんある。日本は比較的、トレーニングの中でそういう部分はないことが多い。それは文化の違いと言えば、そうなのかもしれないが。あとは、日本の選手は年上の選手に対するリスペクトが大きいと思う。例えば、ウチに三浦選手(三浦知良/横浜FC)や最近現役に復帰した中山選手(中山雅史/アスルクラロ沼津)がトレーニングをしに来れば、ウチの選手は誰も削らないだろう。また、山田選手(山田暢久氏/浦和レッズ)がウチでまだトレーニングをしていれば、誰も削ることはないだろう。ただ、ヨーロッパでは若い選手が、自分のポジションを勝ち取るために年齢に関わらずしっかりと戦う。それがサッカーだ。ヨーロッパの若い選手は、生き残るために戦う。ただ、日本は良くも悪くも、生活が非常に豊かだ。生きるか死ぬか、生き残れるかどうかという追い込まれ方が違うと感じている。もっとそのあたりの厳しさを持って、若い選手には戦ってほしいと思っている」
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