突出したスペースの概念と上質なランニング。家長昭博を支える向上心とハードワーク
2015 10/02 07:21
有料WEBマガジン『タグマ!』編集部の許可の元、タグマ!に掲載されているJリーグクラブ有料記事を全文掲載させていただいておりますこの企画。
今回は大宮アルディージャを中心としたWEBマガジン「OmiyaVision」から家長昭博選手に関する記事になります。
【Vision】突出したスペースの概念と上質なランニング。家長昭博を支える向上心とハードワーク(1219文字)(OmiyaVision)
2015年10月01日更新
前節・千葉戦の2点目につながった家長昭博の飛び出しは見事だった。スローインを受けると、右サイドからコンビネーションで最終ラインの裏を取り、相手の陣形を完全に崩す――。スローインを受けた瞬間から、家長の中でイメージは出来上がっていたという。
「初めから入っていくつもりだった。スペースがなくても自分がある程度は入っていかないといけないし、使う、使わないは周りの判断になる。僕は出したら常にスペースに走る。シンプルだけど、それだけ心がけている」
その崩し方には既視感があった。第32節・C大阪戦でムルジャの得点をアシストしたシーンに酷似していたからだ。サイドから中央に侵入し、裏へのランニングで相手の急所を突く。スペースを閉じられるゴール前において決して簡単ではない作業だが、自身の出場した直近2試合で連続して同じ形を作ってみせた。
「いつも入っていっているので、(パスが)出てくるときも出てこないときもある。左からも入っていっているし、続けていけばチャンスが生まれると思う。入っていく回数が最近は多いので、そういうプレーが1回、2回と出てきているのかなと」
もちろん、やみくもに走るだけではチャンスは生まれない。渋谷洋樹監督が「アキ(家長)のスペースの概念はすごい」と称賛するように、家長が突出しているのは攻略できるスペースを見極め、抜群のタイミングで使う能力だ。
最終ラインの裏が完全に閉じられればバイタルエリアを陥れ、中央を閉じられればサイドで相手を広げてから切り込んでいく...。スタンドから見ていても攻略が難しく見えるスペースを使うセンスには、ただただ脱帽するしかない。
ここに来てゴール前でのランニングが生かされるようになったということは、生かす側も家長の"嗅覚"に合わせられるようになってきたということでもある。パスの出し手がさらに感覚を共有できるようになれば、繰り返されるランニングがチャンスにつながる回数も当然増えていくだろう。
周囲とのコンビネーションの向上に加え、今季は自主的にランニングの質を高めるトレーニングを継続してきた。全体練習後、堀田泰史フィジオセラピストとともに行ってきたフィジカルトレーニングのことだ。「大きく変わることはないけど、多少のスピード、ちょっとしたことが変わる。あとは練習することによって少しずつ自信になると思ってやっている」と家長。センスに頼るのではなく、飽くなき向上心とハードワークが華々しいパフォーマンスを下支えしている。
家長は今節・磐田戦を「勝つことがクラブの価値も高めていくと思うし、選手もより評価してもらえる」と位置付ける。シーズン開幕前の「プレーする場所が選手の価値を決めるとは思っていない」という言葉どおり、J2という舞台に甘えることなく、自らの、そしてチームの価値を高めるためにひたすら上を見て歩んできた。結果という形でさらなる"価値"を手に入れるため、背番号41は決戦への準備を進めていく。
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