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【情熱の分析家・河治良幸の一言解説】まるでバッジョ、評価は「1」。清武弘嗣による「夢のような」ゴールに思いを馳せて

2015 09/27  16:00





「夢のようなゴールが監督を救う!」独紙、今季初ゴールの清武に称賛尽きず(theWORLD)

ブンデスリーガ第7節が26日に行われ、MF清武弘嗣、DF酒井宏樹が所属するハノーファーはヴォルフスブルクに1-1で引き分けた。清武はトップ下で82分までプレイし、酒井は負傷のためベンチ外となっている。

ニーダーザクセン州に本拠地を置く両クラブはライバル関係にある。最下位ハノーファーは開幕6試合を終えてまだ白星がなく、ここ5試合で連敗が続いていた。昨季終盤に就任し、見事残留に導いた英雄ミヒャエル・フロンツェク監督だが、このライバルとの一戦の結果次第で解任の可能性が高まっており、進退に大きく関わる重大なミッションに臨んだ。

この監督のクビがかかった一戦で「持っていた」のが清武だった。前半からスルーパスなどで好機を演出した清武は1点ビハインドで迎えた57分、鮮やかなシュートで同点弾を挙げる。ボックス内に走り込んだ清武にロングボールが送られると、これを胸トラップからそのままボレーシュート。これが決まってスコアを振り出しに戻し、そのまま試合終了を迎えた。



情熱の分析家・河治良幸の一言解説

 後方からのボールを走りながら胸トラップあるいはダイレクトのボレーで合わせる。かつて世代最高のファンタジスタと呼ばれた元イタリア代表FWロベルト・バッジョが得意としていた形のゴールです。

 非常にスペクタクルでしたし、まさしくチームを救うゴールでしたね。もちろん本人はさらにもう一つゴールかアシストを決めて勝利に導きたかった試合内容だったとは思いますが、大手『ビルト』紙で「1」という最高評価を受けたというのは本当の意味で認められた証拠です。

 筆者は事前に海外組を集めて行われた6月初旬の合宿を初日から取材していましたが、その時にミニゲームなどで最も良い動きを見せていたのが清武でした。もともとボールを使った練習は抜群でしたが、間に入っていく動きなど積極性が目立つようになっており、自信と意識が高まっていたはずです。

 いよいよ日本代表で真価を発揮する時が来るかと期待していた矢先に右足底部の負傷が発覚し、日本代表の合宿を離脱。その後、手術を受けたためブンデスリーガの新シーズン開幕にも間に合いませんでしたが、クラブは慌てることなく清武の回復を待ち、8月25日にチーム練習に復帰してからすぐのマインツ戦では無理をさせず、第4節ドルトムント戦での復帰になりました。

「キヨくんも代表への思いはあると思う。でもチームとしてもあせらずキヨ君をサポートしてきましたし、キヨくんも焦らずやってきて、もちろんすごく重要な選手なので、大きな期待を背負っていると思います」

 カンボジア戦を前にした代表合宿で同僚の酒井宏樹がこう語っていましたが、クラブでの信頼は非常に厚く、とりわけフロンツェク監督は清武の存在を重要視しているようです。現在のチーム状態は良くないですが、清武が攻撃の中心として活躍していくことが浮上のカギを握ることは間違いありません。

 清武はもともと日本代表で非常に謙虚な発言が目立っていましたが、ブラジルW杯で敗退してからは「ロシアW杯では自分たちの世代が中心としてやらなきゃいけない」と公言するなど、発言が明らかに変わっています。当時、ハリルホジッチ監督が率いてベスト16に進出し、ドイツ代表をあと一歩のところまで追い詰めたアルジェリア代表も28?29歳の選手が中心でした。

 2018年のロシアW杯をちょうど28歳という年齢で迎える清武。まだ道のりは長いですが、ドイツで良い経験を積みながら日本代表でも中心的な存在に定着していけるか注目です。

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