[J論] - これを読めばJが見える

論ニュース日本サッカー関連ニュースを分かりやすく解説

日本代表に復帰した柏木陽介。『球際への強さ・こだわり』で日本代表に違いをもたらす

2015 10/02  11:19

10月1日、日本サッカー協会はFIFAワールドカップ ロシア アジア2次予選『日本代表vsシリア代表』戦に向けた日本代表メンバー23名を発表しました。



W杯予選に臨む日本代表発表、南野が初選出...柏木、清武らが復帰(サッカーキング)

▼GK
西川周作(浦和レッズ)
東口順昭(ガンバ大阪)
六反勇治(ベガルタ仙台)

▼DF
吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
丹羽大輝(ガンバ大阪)
槙野智章(浦和レッズ)
森重真人(FC東京)
酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)
塩谷司(サンフレッチェ広島)
長友佑都(インテル/イタリア)
米倉恒貴(ガンバ大阪)

▼MF
長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)
山口蛍(セレッソ大阪)
柏木陽介(浦和レッズ)
柴崎岳(鹿島アントラーズ)
香川真司(ドルトムント/ドイツ)
清武弘嗣(ハノーファー/ドイツ)

▼FW
本田圭佑(ミラン/イタリア)
南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)
原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)
宇佐美貴史(ガンバ大阪)
岡崎慎司(レスター/イングランド)
武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)



今回J論では柏木陽介選手の日本代表復帰に注目し、浦和レッズの試合を多く取材する『蹴球界のオールラウンダー・郡司聡』による一言解説を掲載します。

gunzi.png
【蹴球界のオールラウンダー・郡司聡による一言解説】
 8月に開催された東アジアカップ日本代表メンバーに選出されながらも、負傷により辞退していた浦和レッズの柏木陽介選手が、再び日本代表メンバーに選ばれました。次なる戦いの舞台は2016年ロシアW杯2次予選のシリア戦と国際親善試合イラン戦。特にグループ首位を走るシリアとの決戦は、2次予選突破に向けての正念場となります。

 そんな重要な中東遠征を前に、日本代表に復帰した柏木選手に懸かる期待は決して小さくありません。バヒド・ハリルホジッチ監督はメンバー発表の会見の席上で、「中国(東アジアカップ)に呼びたかった選手。すでに時間をかけて彼のことは追跡している」と話すなど、代表監督による定点観測の結果、満を持しての復帰となりました。

 今季の柏木選手は、無敗でファーストステージ優勝を成し遂げた浦和レッズで、昨季まで務めていたシャドーから1列ポジションを下げたボランチを主戦場にチームをけん引しています。ハリルホジッチ監督も期待を口にする「攻撃のクオリティー」という意味では、浦和のペトロヴィッチ監督が「オーケストラに例えれば、指揮者のような役割」と話すように、自慢の左足から繰り出される長短の正確なパスをベースに、本人は「中と外をうまく使い分けるのがオレの仕事」と捉えながら、チームの攻撃のリズムを生み出しています。時にはセカンドステージ第8節・ベガルタ戦で決めた直接FKでのゴールという飛び道具も繰り出すように、彼の存在が日本代表の攻撃の幅を広げることは間違いないでしょう。

 そしてなによりも今季の柏木選手は、プレーヤーとしての進化を印象付けています。プレシーズンから体づくりには細心の注意を払いながら、節制に務めており、顔つきはより精悍に、そして体もシャープさを増しています。その原動力は昨季、土壇場の大逆転でガンバ大阪にリーグ優勝を奪われたその悔しさにあります。

 最も大きな変革は、守備の局面での球際への強いこだわりです。シーズン開幕当初こそ、ACLで対戦した豪州、中国、韓国など列強国の猛者たちに球際でひ弱さをのぞかせていましたが、試合を重ねるごとに激しい球際の攻防からボールを奪い取る場面が格段に増えてきました。

 分岐点はファーストステージ第11節、敵地での仙台戦でしょうか。柏木選手のルーズなアプローチが失点につながるなど、「すべてが不完全燃焼に終わった」自身の出来を踏まえて、翌節のFC東京戦では、普段以上に守備の局面で奮闘する柏木選手の姿がありました。

 「今までは足先でうまいプレーをしながら、大事なところで球際に行ければいいと思っていたけど、今日は死ぬ気で球際のところに行っていた。充実感があるし、チームとしての勝利もうれしいけど、黒子に徹することできた。黒子に徹しながら、サイドチェンジやクサビのパスをしっかり出して、球際に厳しく行けるようになればいいと思う」

 この頃からです。試合後のミックスゾーンでの柏木選手が必ずと言っていいほど、「球際への強さ・こだわり」を口にするようになったのは。

 8月の東アジアカップが終わったあとの時期にはこんなことも言っていました。「攻撃と守備の(意識しているプレーの)部分が重なったときに代表でも活躍できるんじゃないかという気はしている。それができる選手はいまの代表にはいないんじゃないか」。中東勢を相手にどこまでできるかはやってみなければ分かりませんが、いまの柏木選手は攻守両面でクオリティーを発揮できる自信があるのでしょう。

 これまで輝きを放ってきた攻撃面に加えて、良好なコンディションを保つためのアプローチや、90分間ファイトすること、球際への強いこだわりなど、今季の柏木選手はさらなるプレーヤーとしての進化を見据えて、さまざまな努力を重ねてきました。"改革元年"につかみとった念願の代表復帰ーー。"浦和の太陽"が、2012年以来となるサムライブルーのユニフォームに袖を通す日がやってきました。

J論 最新テーマ: ニュース に関するコラム

投票

異論(0票)

納得(0票)

論 最新ニュース