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大谷秀和から工藤壮人へ。試合中に腕章を託された意味とは?【柏レイソル】

2015 03/19  09:47

有料WEBマガジン『タグマ!』編集部の許可の元、タグマ!に掲載されているJリーグクラブ有料記事を全文掲載させていただいておりますこの企画。
今回は柏レイソルを中心としたWEBマガジン「柏フットボールジャーナル」から大谷秀和選手と工藤壮人選手に関する記事になります。


【コラム】 腕章を託されて -1376文字- (2015/03/05)(柏フットボールジャーナル)
2015年03月05日更新

5-1の快勝を飾ったビン・ズオン戦。チームとして目指すものを存分に発揮できた試合内容や、大量得点という部分以外に、スタンドを沸かせるシーンがあった。後半30分、大谷秀和はピッチを退く際、キャプテンマークを工藤壮人に託した。

今年の指宿キャンプで、引き続きキャプテンは大谷がを務めるということを吉田達磨監督から聞いた私は、大谷にあらためて『キャプテン』について話を聞いた。その会話の中で「キャプテンを引き継げる選手が、そろそろ出てきてほしい」と、年下の選手たちのさらなる成長に期待を込めていた大谷の言葉を聞いていた身としては、工藤の右腕にキャプテンマークを巻く姿には、そういう意味が込められていたのかと思っていた。



だが、実際に当人同士にビン・ズオン戦でのやり取りを聞くと、周囲が思っているほど深い意味はなかったようだ。

試合後のミックスゾーンで、工藤は「タニ君(大谷)に聞いたら、『他にキャプテンマークを渡せる奴がいなかったから』と言われました。次はもう少し頼ってもらえるように頑張らなきゃいけないですね」と言って報道陣の笑いを誘った。

そして大谷にも、工藤にキャプテンマークを渡したことに意味はあったのかと訊ねると、「意味がないことはないけど、深読みしすぎですよ」と、笑って答え、あの時の状況を説明してくれた。

「年齢的にはスゲ(菅野孝憲)がいいと思ったんで、スゲが近ければ渡しましたけど、ちょっとあそこまで行くには...(笑)。あとは点差もあったから、見渡した中で工藤に渡しました。工藤はそういう素質があるのは十分に分かっているし、付けてもらって責任感を持ってもらうということは必要のない選手だと思います。あのピッチで見た中では工藤がいいかなと思ったので渡しました」

これまで大谷が退く時にキャプテンマークを託していたのは栗澤僚一であり、増嶋竜也だった。今回は彼らがピッチ上にいなかったこと、GKの菅野には渡しにいくには距離があったこと(確かに、もしそうしていたら遅延行為を取られかねない)、そういった状況もあって、あの時に最も適任だと大谷が思ったのが工藤だったというわけだ。

大谷の言うとおり、もともと責任感の強い工藤は、ビン・ズオン戦でキャプテンマークを託されたからといっても、急にテンションが上がったり、逆にプレッシャーになったということもなかった。

むしろ、ここ数年は主力中の主力としてチームを引っ張ってきた自負があるため、今回のように交代で下がる大谷から、試合中にキャプテンマークを渡されることに「気持ちの準備はできていた」と話すあたりは実に工藤らしい。やはりそこは、強烈なリーダーシップと存在感を持った北嶋秀朗の背中を見続け、その北嶋から背番号9を受け継いだ時点で、リーダーとしての自覚が芽生えていたのだろう。

もちろん、今回の件で次期キャプテンが決まったなどと言うつもりは毛頭ない。それこそ、大谷の指摘どおり「深読みしすぎ」だ。ただ、工藤をはじめ、茨田陽生、鈴木大輔など中堅と呼ばれる年齢に差し掛かってきた年代の選手たちには、今まで以上にチームをグイグイと引っ張っていける存在になってほしいと思う。


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