2011年3月11日から4年。川崎フロンターレの取り組み『支援はブームじゃない(中村憲剛)』
2015 03/18 10:43
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今回は川崎フロンターレを中心としたWEBマガジン「川崎フットボールアディクト」から3.11に関する記事になります。
【コメント】3.11について(角田誠、中村憲剛、小宮山尊信)(川崎フットボールアディクト)
2015年03月11日更新
少しばかり風は強かったが、その分快晴の空は抜けるような青色で、清々しかった。
その青空の下、半旗が掲げられた練習場では今日も選手たちがボールを追いかけていた。
早いもので、2011年3月11日から4年が経過。その間、被災地は少しずつ復興への歩みを進めている。今年も訪れた3.11に、選手たちに話を聞かせてもらった。
▼角田誠
――仙台でプレーしていた選手として、この日(3月11日)は大事な日になるんでしょうか。
「そうですね。大変でしたからね」
――復興支援活動に力を入れているフロンターレへの移籍は何か運命を感じますか?
「川崎が一番最初の方で立ち上がってくれたというのは仙台に居た時も、色々とやってくれていたということは聞いていますし、震災の一発目のゲームもフロンターレ戦でしたし、正直な話、鮮明に覚えていますしね。まあでもこのチームにいたら震災のことはたぶん普通に考えられると思いますし、陸前高田には年1回行ってますし。忘れることはないので。良かったというか、良いチームにこれました」
▼中村憲剛
「未だに仮設住宅に住んでいる人が居るということをラジオでも聞きました。この日はみんな、絶対に忘れない。
ここもすごく揺れたから、あの日の事を思い出す。だけど、遠ければ遠いほど、みんな疎くなるから。そこの差を、みんなで意識の違いというか。だけど、そういう意識を統一できるのがこの日なのかなと思います。でも、この日だけじゃなくてもいいとは思いますが、けどこの日じゃないとみんなでできないというのもわかります」
――支援する側が支援疲れしたらダメだと思っていて、そういう意味では日常生活の中でうまくやれればいいとは思います。そういう意味ではアシストとゴールで、昨季は100万円の寄付をして、今年も継続するということで、プロサッカー選手としては一番普通にできることなのかなと思います。
「まあそうですね。それは一度やると決めたので。このチームが支援はブームじゃないという事を言っていて、実際にその通りじゃないですか。だから本当に全部がすべて戻ってもう大丈夫ですと言われるまでは、続けようかなと。選手であるうちはね。でも選手のうちに復興することはないと思うんですよね。だから続けていくことに何の疑問も抱かないです」
※Mind-1ニッポンプロジェクト
「Mind-1ニッポンプロジェクト義援金」報告(2014年12月末時点)
http://www.frontale.co.jp/info/2015/0306_1.html
中村憲剛は、ゴールとアシストをそれぞれ決める毎に、50000円ずつ寄付することを表明しており昨季は100万円が寄付された。募金は今年も継続する。
――だから自分でできる事を続けていると。
「できることをね。だから背伸びもしてないですし。だから何も無理をしてなくて、むしろそういう風にサッカー選手としてやれることの一つであるかなとは、個人としてね。毎週のように被災地に行けるわけじゃないので。だから違う形で、そういう形で支援ができればなと思っています。それを別に素晴らしいと言ってもらいたいわけじゃない。別にみなさんが勝手に言うのは構わないんですが、そう言ってもらいたいがためにやっているわけではないということです」
――フロンターレに関わることによって、普段もチームは募金を続けていますが、まだ終わってないことを実感するところはあるんですか。
「と思います。あれはすごく大事で、額は少ないんですが、けど選手たちはなかなか行けてないですが、そこで街頭に立って『募金お願いします』ということで、思い起こすというかね。そういうきっかけになりますし、支援はブームじゃないを地で行っているのはそこの活動だと思っていて、定期的に募金活動を続ける。そこに選手も行ける時に行く。その中に、ぼくらが陸前に行くこともそうだし、陸前の人たちが等々力に修学旅行で来るということもそう。それは、あの募金活動がベースになっているので。あれが無くなったらうちじゃない」
――角田さんはそういう事をやってくれていて、忘れることはない、と言われてました。
「オレらは支援する側だから、何を言おうが、何を言われようが、所詮被災はしていない。でも被災した人たちは絶対にあの事実は忘れない。だからカクが言ってることは本当にその通りだと思う。カクが感じてることとオレが感じてることは、同じ日なんだけど、違うから。だから仙台の人たちがありがとうと言ってくれるのはすごく嬉しいですね」
――仙台とは震災後の最初の試合で戦ってますしね。
「なにか色々と縁があるよね。カクの仙台時代の応援歌がそのままうちで使われているというのはすごいことだと思う。その絆たるや(笑)。サポーター同士のね。普通は使わない。だからホントにいい関係を築けているよね、仙台とは。サポーター同士。選手たちは試合があるから敵同士だけど、終わったらそういうのはないけど。川崎は川崎らしく、うちらなりの支援の形があると思うしそれをやり続けたいと思います。個人としてもそうですね。そう思えるのもフロンターレがそう言ってたからだと思います」
▼小宮山尊信
――日本プロサッカー選手会の一員として、チャリティーマッチなどに参加してましたが、改めて震災の日を迎えて一言もらえますか。
「チームとしても、継続してそういう事をやってこれているので、そちらでもしっかりやって行きたいと思います」
――選手会は選手会で、引き続き役職には就いてるんですか?
「そうですね」
――今年もチャリティーマッチがあれば参加すると。
「そうですね。あれは自分が参加したくて参加しているので、今年もやります」
――4年たって、長いのか、短いのががよくわからないんですが、そういう感覚はありますか?
「まだ4年しか経ってないんだという感じです。それがどういう感覚なのかよくわからないんですが、昨日ふとそう思って。もっと長い時間たった気もするんですけどね」
――陸前高田は少しずつでも復興に向けて進んでいましたね。
「そうですね。一気には難しいかもしれませんが、地道にやって行って。忘れる人はいないと思うので。活動を続けていくことが大事だと思います」
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