【情熱の分析家・河治良幸の一言解説】初戦1G1Aに地元紙も高評価。本田圭佑は、プレマッチでの低評価は覆せたのか?
2015 08/19 17:06
1G1Aの本田が伊紙でMOM『7.5』の最高評価。ライバルには最低点(フットボールチャンネル)
ミランの本田圭佑は17日に行われたコッパ・イタリア3回戦のペルージャ戦に先発出場し、1ゴール1アシストを記録。チームの2-0での勝利に大きく貢献した。
この活躍にイタリア現地メディアが高評価を下す中、大手『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙は18日朝の紙面に選手採点を掲載し、本田にチーム最高点の『7.5』をつけた。
情熱の分析家・河治良幸の一言解説
相手はセリエBのペルージャでしたが、ミハイロビッチ監督が就任して最初の公式戦としては上々のパフォーマンスで、その中でも本田圭佑は良い働きをしました。
大手メディアで予想された通り[4-3-1-2]のトップ下に配置された本田はバランス良く組み立てに参加しながら、ゴールの道筋をイメージしているのはもちろん、それを中盤や新加入の2トップとしっかり共有しながらプレーできていた印象です。
前半10分の先制ゴールはサイドで味方がボールを奪ったところからのロングカウンターであり、縦に走りながらルイス・アドリアーノの動きに相手DFがつられることで、瞬間的に生じるギャップをうまく突いてパスを呼び込んだ結果でした。
そして2点目のスルーパスによるアシストはバイタルエリアで味方のパスをタイミング良く引き出しながら、しかも前方のルイス・アドリアーノが動き出すタイミングとポイントを見極めるというもの。トップ下としてのセンスがない選手には、なかなか出せないラストパスでしょう。
結果的に得点につながらなかった場面でも、いくつか見事なパスがありましたし、基本的には高い位置をなるべくキープしながら、必要に応じて中盤の守備にも参加していました。
その本田に筆者が話を聞いたのは7月30日のことです。中国の上海で行われたプレシーズンのレアル・マドリー戦後、「トップ下のやりがい」について彼はこんなことを語っています。
「正直、監督がどう思っているかは分からないですけど、自分的には完全にはまり役というか、これが続くのならば、間違いなく結果が出て来るかなという感じはしています」
その後のプレシーズンマッチで地元メディアの評価はあまり高くなかったようですが、本田自身はいろいろ探りながら監督ともコミュニケーションを取ってトップ下のビジョンと感覚を磨いて開幕に合わせてきたはずです。
「単純に個で3、4人(を突破)という攻撃は現状できないですけど、連携面とか一つひとつのパスの質、コンビネーションというところは2、3人が絡めば相手の組織を崩せるレベルにある選手が揃っていると思う。ミランというクラブでプレーする上で、常に満足せず求めていきたい」
こう語る本田にとってペルージャ戦ではインサイドハーフをつとめたボナベントゥーラやミランの中では卓越した個の打開力を備えるメネズがポジションのライバルになってきます。ただ、この日に見せたような2トップとの絡みやフィニッシュの意識を見せ続けることができれば、チームの結果も伴い、自然と本田個人の地位が確立されていくはずです。
もちろんセリエAともなれば対戦相手のレベルは上がりますし、リーグ戦が進んでいくほど相手に研究されていくもの。実際に新加入だった昨季は序盤戦こそハイペースでゴールを量産したものの、だんだん尻窄みになってしまいましたが、今季はその課題も克服してシーズンを通して評価される活躍につなげてほしいものです。