栃木ウーヴァFC 求められる大改革。長期の低迷から脱出し、地域が誇れる活躍を。
2016 12/31 08:50
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【無料記事】【コラム】栃木ウーヴァFC 求められる大改革。長期の低迷から脱出し、地域が誇れる活躍を。(栃木フットボールマガジン)
2016年12月29日更新
シーズン報告会で厳しい表情を浮かべながら挨拶する岩原克彦代表。
(取材・文・写真 永島一顕)
今季は24敗。"他力本願での残留"という現在地
2016年シーズン、第18回日本フットボールリーグ(JFL)で16チーム中15位に終わった栃木ウーヴァFC。12月10日、栃木市内のホテルで開かれたシーズン報告会では、「チーム力、クラブの力不足により15位に終わった。(JFLに)残ることの大切さを痛感したシーズンとなった」(岩原克彦代表)、「15位という成績はすべて私の責任。結果を真摯に受け止め、前に向かって戦っていかなくてはいけない」(堺陽二監督)と、チーム関係者からは成績不振を重く受け止める言葉が突いて出た。
一方、あいさつに立った来賓や支援者からは、「大変なシーズンだったが、働きながらでもサッカーをやりたいと思っている限り大丈夫。強くなる方向を目指して頑張ってほしい」「どういう形であれ残留できたのは、神様がその舞台で戦ってもらわなければ困る、その資格があると言っているのだと思う。来季は自力で勝ち点を重ね順位を上げてほしい」などと労いの言葉が送られた。しかし、数シーズン下位から脱却できない状況をクローズアップし、チームの奮起を促す声も聞かれた。
2010年からJFLの舞台で戦ってきた栃木ウーヴァ。年間順位は、10年が15位、11年が10位(ともに18チーム中)だったものの、12年が17チームの最下位、13年が18チーム中17位、14年が14チーム中13位、15年が16チームの最下位と低迷が続いてきた。その間、12年に入れ替え戦で勝利した以外は、J3発足で昇格チームがあったことやリーグ内チームの脱退や廃部などにより「他力本願」でJFLに残留、地域リーグ降格を免れてきた。
低迷からの脱却を図るべく迎えた今季は、プロ契約で堺陽二監督を招へい、多くの新戦力も加わり、チームのテコ入れを図ってスタートを切ったはずだった。
ところが、開幕4連敗でいきなり躓き、その後も2ステージを跨いでの8連敗、さらに5連敗を2度重ね、連勝は1度もなく最後まで不振から脱却できず年間成績は5勝1分け24敗。試合数は違うが、JFL 7季目で過去最低の勝ち点16しか得られず、シーズンを終わることとなった。
開幕前の栃木SCとのトレーニングマッチ(TM)後、堺監督は「リーグ戦では、結果もものにしなければいけない。チーム内の競争をあおりながら、開幕戦は一つの通過点として考え、チームレベルをより高い位置へと導きたい」と話していたが、結果は厳しい現実を突きつけられるものとなった。
阿部主将は今季限りで退団となるが、最後の挨拶でクラブに必要な改革を求めた。
ウーヴァ主将が残した言葉「今、クラブは大改革が必要です」
それにしても今季のウーヴァは、失点が多すぎた。全30試合で77失点、最下位のファジアーノ岡山ネクストより16点も多かった。期待選手のケガでの離脱などもあったが、1試合平均2.5点以上許してしまっては、どんなチームでも勝利を手繰り寄せることは難しい。守りの崩壊が、今季の結果を招く一因となったことは間違いない。
また、チームが色々と揺れ動いていた感も否めない。シーズン序盤には先発出場が多く、今季途中まで10試合1得点のMF濱岡和久、12試合2得点のMF足立高俊がシーズン中盤で突然退団する異常事態も発生。主力2人の離脱に際しては、ファン、サポーターを始め周囲から「ウーヴァはどうなっているんだ」と危惧する声も聞こえた。今季限りでウーヴァを去る選手は、「チームはまとまりに欠け、決して一枚岩ではなかった」などと今季のチーム状態を話し、ファンらの危惧が決して的外れではなかったことを伺わせた。
今季、ウーヴァにとっては決し良いシーズンではなかった。それでも、17年もJFLの舞台で戦う資格だけは得た。堺監督の去就も含め、まだまだ陣容は固まっていないが(12月28日現在)、新シーズンに向けて本腰で強固な体制を整える必要があるのは明らかだ。
ただ、現在のJFLのチームは、Jリーグのチームにも見劣りしない練習環境が整えられているところもある。ウーヴァはシーズン中の平日練習が各選手の仕事が終わった後の夜間になってしまうことなどハンディを背負っていると言え、その不利の克服もチームにとっては課題となる。
ウーヴァを去ることとなったDF阿部琢久哉主将が残した言葉が心に残っている。ホーム最終戦後のセレモニーでは「歴史を変えたいと宣言しながら、良い歴史に変えられず申し訳ない。今、クラブは大改革が必要です。大きく変わって来季は良い成績を残してほしい」と声を詰まられながらあいさつし、報告会では「ウーヴァのユニホームを着て、Jでの100試合出場を達成したかった。志半ばでの退団は悔やまれるが、残った皆で、Jのクラブへと押し上げてくれることを願っている」と胸の内を吐露した。
厳しい戦いが予想される17年シーズン開幕までの時間は限られている。選手のみならずファン、支援者などチームに愛着を持つ全ての人のためにも、「栃木市」を本拠戦うウーヴァは低迷を脱し、皆が誇れる素晴らしい活躍をしてくれるチームにならなくてはいけない。そのためには、阿部主将が言う「大改革」が、フロント、現場ともに求められるのではないか。
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