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【宇都宮徹壱WM】「J3以前/以後」のレポートにして紀行文 新著『Jのほそ道(仮)』の隠されたテーマとは?

2016 10/02  06:03

有料WEBマガジン『タグマ!』編集部の許可の元、タグマ!に掲載されているJリーグクラブ有料記事を全文掲載させていただいておりますこの企画。
今回は宇都宮徹壱ウェブマガジン「宇都宮徹壱ウェブマガジン」から『Jのほそ道(仮)』に関する記事になります。



【無料記事】「J3以前/以後」のレポートにして紀行文 新著『Jのほそ道(仮)』の隠されたテーマとは?宇都宮徹壱ウェブマガジン
2016年09月30日更新

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 早いもので9月も今日で終わり。当WMでは、メインコンテンツとウィークリーコラムは、それぞれ「月4本」としており、今月はすでにその規定を満たしている。とはいえ、1週間まったくお休みというのも申し訳ないので、今月末はメインコンテンツの代わりに新著のプロモーションに充てることとした。(参照1) (参照2)

 もっとも今回の『Jのほそ道(仮)』は、これまで以上にマイナーかつドメスティックなフットボールをテーマとしている。しかも第1章が、2008年のHonda FCのレポート。いったいどれだけの食いつきがあるのだろうかと、半ば不安、半ば好奇心を抱きながら、今回の「先行公開」と相成った。幸い、SNSを見る限りでは「会員でなくても読める部分だけで、もう面白い」とか「発売、いつなんだろ?」といった嬉しいリアクションがいくつかあった。そこで今週のウィークリーコラムは「無料記事」として、新著に関する最新情報を公開することにしたい。

 まず、タイトルの『Jのほそ道(仮)』について。先にお伝えしたとおり、これは松尾芭蕉の『おくのほそ道』へのオマージュである。ただし紀行文テイストを残しながら、タイトルは変更される可能性が高い。私自身、この『Jのほそ道』という字面と語感が大変気に入っているのだが、版元から「より多くの方に書店で手にとってもらえるために、できるだけストレートな表現にしたい」というリクエストをいただいた。確かに、まずは手にとって読んでもらわなければ話にならない。そんなわけで、いくつかの代案をすり合わせた結果、最終的なタイトルはほぼ決まった。正式決定後、あらためてアナウンスすることにしたい。

 次に、発売日と価格について。amazonのページによれば、発売日は「11月16日」、価格は「1728円」とある。価格に関して言えば、消費税を抜いた定価が1600円。最近のサッカー本は「定価1500円」がひとつのボーダーラインとなっており、その点でいうとちょっとばかり強気の設定だ。適正と思うかどうかは、実際に手にとってご判断いただくしかないだろう。が、少なくとも『股旅フットボール』(東邦出版)をご愛読いただいた方には、きっと満足していただける内容になっていると確信している。

 本書の内容についても説明しておこう。『股旅フットボール』では、全国の地域リーグから将来のJリーグ入りを目指すクラブを3年にわたって追いかけた作品である。『Jのほそ道(仮)』では、そこから一歩進めて「Jリーグを目指すクラブ」と「Jリーグを目指さないクラブ」を公平に取り上げた。なぜ上を目指すのか(あるいは目指さないのか)、それぞれのクラブの歴史や地域性を織り交ぜながらレポートしている。全部で15章があり、取り上げる取材対象は以下のとおり。

第1章 Honda FC(08年)

第2章 ツエーゲン金沢&フェルヴォローザ石川・白山FC(08年)

第3章 SAGAWA SHIGA FC(08年)

第4章 福島ユナイテッドFC(11年?12年)

第5章 AC長野パルセイロ(12年)

第6章 J3構想(13年)

第7章 ホンダロックSC(13年)

第8章 奈良クラブ(13年)

第9章 三菱重工長崎(14年)

第10章 アスルクラロ沼津(14年)

第11章 レノファ山口FC(15年)

第12章 ブリオベッカ浦安(16年)

第13章 高知ユナイテッドSC(16年)

第14章 ラインメール青森&ヴァンラーレ八戸(16年)

第15章 東京23FC&東京武蔵野シティFC(16年)

 初出のほとんどは『サッカー批評』もしくは『フットボール批評』だが、中にはスポーツナビや徹マガ、そして今は休刊となった専門誌に掲載されたものもある。取り上げるカテゴリーは、JFLと地域リーグ。確かにニッチでマニアックではあるが、アンダーカテゴリーで起こっている現象は、日本サッカー全体に関わる普遍的な話でもある。Jクラブを応援しているファンにも、きっと興味をもって読んでいただけることだろう。

 ところで今回の書籍化に際し、08年から今年までの原稿をあらためて通読してみて気づいたことがある。それは14年のJ3リーグ開幕が、良くも悪くも日本サッカーのピラミッドにインパクトを与えていることだ。当初は意図していたわけではないが、実は「J3の是非」こそが、本書の隠されたテーマとなっている。ゆえに本書は、「J3以前/以後」の日本サッカー界を切り取ったレポートであり、急速に変わりゆく社会人サッカーの原風景を活写した紀行文でもある。

 最後に、当WMの会員の皆さんにお知らせ。現在、会員限定で何かしらのサービスを提供できないか、版元であるカンゼンと交渉している。価格が少し安くなるのか、書店に並ぶよりも速く入手できるのか、あるいは何かしらの特典がつくのか──。こちらも決定次第、アナウンスさせていただく。なお、当WMへの入会を迷っている方がいらしたら、久々の新著発売を機にご検討いただければ幸いである。

<この稿、了>


宇都宮徹壱WM」ではこのほかにも下記の記事などを掲載中です。

【新著より先行公開】Jリーグを目指さなかった理由 Honda FC(2008年・春)<2/2>
http://www.targma.jp/tetsumaga/2016/09/29/post3592/

【新著より先行公開】Jリーグを目指さなかった理由 Honda FC(2008年・春)<1/2>
http://www.targma.jp/tetsumaga/2016/09/28/post3582/

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