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【検証・大宮J2優勝】組織で作り、個で崩す。信念のチーム作りが結実したJ2優勝

2015 12/01  06:21

有料WEBマガジン『タグマ!』編集部の許可の元、タグマ!に掲載されているJリーグクラブ有料記事を全文掲載させていただいておりますこの企画。
今回は大宮アルディージャを中心としたWEBマガジン「OmiyaVision」からJ2優勝に関する記事になります。



【検証・J2優勝】第1回 - 組織で作り、個で崩す。信念のチーム作りが結実したJ2優勝(片村光博)OmiyaVision
2015年11月18日更新

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劇的な形でJ1復帰・J2優勝を果たした2015年。チームの強さの根源はどこにあったのか、番記者たちがそれぞれの視点で振り返ります。第1回はOmiyaVision編集長・片村光博が、チームの目指した形とシーズンの変遷を追いながら、全体を総括します。



"大宮のサッカー"とは何なのか――。その問に対する一般的な答えは、2004年のJ1昇格から長く続いた堅守速攻のスタイルということになるだろう。昨季途中に渋谷洋樹監督が就任した際も守備組織の修正から着手しており、堅守が大宮にとって立ち返る場所の一つであるのは間違いない。

しかし、J2を戦うにあたって大宮が選択したのは、自分たちがボールを保持して主導権を握ることだった。昇格・優勝のためには勝利を積み重ねる必要があることも一つの理由ではあるが、かつて師事したピム・ファーベーク氏からオランダサッカーの薫陶を受けた渋谷監督にとって、"大宮のサッカー"とはイニシアチブを取って戦うスタイルにほかならなかった。

優勝を決めた大分戦後、指揮官は今季を振り返って語っている。

「守備だけで勝つのも一つあると思うが、J1で戦うならボールを持つ時間がなければ勝利の確立は低くなる。今季は攻撃の部分で立ち位置、ポジションについては非常にうるさく言っていた。選手たちも『それが良いんだ』、『それによってマネジメントもできる』と伝えた。攻撃が最大の防御だと常日頃から言ってやっていた」

その言葉どおり、今季はキャンプから継続して攻撃組織のトレーニングを徹底し、いかにしてボールを大事にしながら勝つかを追求してきた。印象的だったのは、攻撃を「ビルドアップ」「セットアップ」「フィニッシュ」の3フェーズに分け、「ビルドアップとセットアップは組織で作れる」と定義したこと。基盤となるビルドアップには特に注力し、開幕後にもアレンジを加えることでベースアップを図っている。

サイドバックが高い位置を取り、ボランチがカバーリングしながらボールの中継点を作ることでパスコースを増やし、ビルドアップのスムーズさを担保。セットアップの段階では全体がさらに一段階前進し、相手の陣形を広げることで崩しの選択肢を増やすという作業を組織として共有してきた。漠然とした"ポゼッション"という言葉にすがるのではなく、どのように、何のためにボールを動かすのかを強く意識することで、フィニッシュへとつなげた。

ビルドアップとセットアップが成功すれば、フィニッシュの局面への移行できる。そこで家長昭博やムルジャをはじめとした、J1でもトップクラスの実力を持ち、J2では明らかに突出したアタッカー陣の能力が生きてくる。いかに良い形で彼らにボールを運び、得意な状況でゴールへと迫らせることができるか。その精度を高めていく積み上げが、今季の大宮の本質だった。

大分戦を前に家長は「最低限、当たり前にやることはあるけど、最後に決めるのは個人の力もある。結局は点を決めるか決められないかの問題になってくる」と展望していた。「最低限、当たり前にやること」を突き詰めた先にあるのは、個の力によるフィニッシュ。強烈な個であるムルジャと家長が大分戦の得点者となったのは、象徴的な事実だった。

シーズン終盤は「最低限」を出し切れずに苦しい戦いが続いたが、だからこそ拠りどころとなる部分が光った側面もある。渋谷監督は第39節・長崎戦(2○1)の渡部大輔の1点目、そして大屋翼が起点となって生まれた大分戦の2点目を例に挙げ、手ごたえを口にしている。

「サイドの選手が最後に1対1を抜いている。そこまで持っていって、1対1にさせて抜くことがあればああいう結果になる。今季やってきて、ボールを持てばこういう形が出るということ。相手を広げさせて、カバーリングをさせないくらいにした。翼や大輔が抜いたときにカバーがなかったということは、良い形でボールが動いていたのかなと」

4試合未勝利で迎えた長崎戦、そして2点のビハインドを背負った大分戦と、いずれも追い込まれた状況で出たプレーだ。苦しいときには、自分たちが培ってきたものに頼るしかない。すなわち、いまの大宮にとっての頼るべきものは、信念を持って積み上げてきた攻撃スタイル。それこそが"大宮のサッカー"になったということだ。

終盤の足踏みもあり、決して他を寄せ付けない強さを印象付けたとまでは行かなかったかもしれない。それでも今季の大宮は、変革への歩みを確かに進めながら、優勝という結果も残してみせた。来季の開幕までには、明確になったスタイルを"J1仕様"にグレードアップさせる作業が進むだろう。より完成度を増した"大宮のサッカー"を、J1の舞台で見せ付けるために。




OmiyaVision」ではこのほかにも下記の記事などを掲載中です。


【大宮ゴールキーパー道】第4回 -白井淳GKコーチ「サポーターの力を実感できるシーズンだった」(2806文字)
http://www.targma.jp/omiya/2015/11/29/post1585/

【チームニュース】渋谷洋樹監督の契約更新が発表される。「より質の高いトレーニングをしていきたい」(977文字)
http://www.targma.jp/omiya/2015/11/27/post1580/

★無料記事【高木直送フォト】ヘイ、マルコ!
http://www.targma.jp/omiya/2015/11/27/post1577/

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大宮アルディージャについて(2票)

匿名(IP:210.162.15.8)

家長スタイルの間違いでしょう?
いなかった試合見て書いてるのこれ

2015年12月 1日 10:38

Chubby(IP:188.143.232.27)

If you wrote an article about life we'd all reach enheiltgnment.

2016年6月21日 11:30

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