ボスニア・ヘルツェゴビナ1部から湘南ベルマーレに加入したGK伊藤剛の数奇な道のり
2015 10/13 07:09
有料WEBマガジン『タグマ!』編集部の許可の元、タグマ!に掲載されているJリーグクラブ有料記事を全文掲載させていただいておりますこの企画。
今回は湘南ベルマーレを中心としたWEBマガジン「縦に紡ぎし湘南の」から伊藤剛選手に関する記事になります。
【横編み日記】GK伊藤剛の数奇な道のり(1)(縦に紡ぎし湘南の)
2015年09月30日
東欧を中心とする海外勢と肌を合わせるトルコキャンプでのトレーニングマッチにおいて、対戦相手のボスニア・ヘルツェゴビナ1部NKズビエズダのゴールマウスに日本人GKが立っていた。伊藤剛だった。
「トルコに行く前はNKズビエズダの練習生でした。セレクションを受けていたんです。ダメだったらトルコには連れて行かない、受かれば連れて行くということで、トルコに行く日の朝に『契約するぞ』と言われました。ベルマーレと試合をすることは聞いていたので、自分を含めてGKが5人いたなかで、監督が日本のチームとやるのでせっかくだからと合わせてくれた。それであの試合に出させてもらったというわけです」
帝京高校を卒業した伊藤は、自身の希望と縁もあり、元日本代表GK小島伸幸さんがコーチを務める日本大学に進学した。だが当時の自身の弱さを否定しない。大学では環境に甘えてしまい、サッカーに集中することができなかったという。
「環境を変えて、もう一度サッカーに集中したいという想いがありました。そう考えていたときに、海外に留学している友だちの話を聞いて興味を持ち、エージェント会社を教えてもらって連絡した。最初は海外に留学しようと思っていたんですけど、東欧のモンテネグロでセレクションがあるから受けてみないかという話があり、興味を持った。そこでセレクションを受けて、モンテネグロ2部のチームに入りました」
契約が叶ったら大学はやめようと考えていた。そうして2013年2月、伊藤はFKゾラに加入し、キャリアをスタートさせた。だが所属した半年間、試合には出られず、同じくモンテネグロ2部のFKコムへ移籍した。
「FKゾラでは言葉の壁などに苦しんで、半年間、試合に出られなかった。次のFKコムでも半年ぐらいは試合に出る機会がなく、合計1年近く試合には出られませんでした。でも徐々に海外の暮らしに慣れ、言葉も覚えてきて、ようやく試合に出られるようになった」
13年8月から翌14年7月まで1年間を過ごしたFKコムでは、後半の半年間に出場機会を得、次に移籍した同じくモンテネグロ2部のFKイスクラではポジションを掴んだ。チームも好調だった。「前期だけですけどチームは首位で、失点もリーグで2番目ぐらいに少なかった。そういうのもあってNKズビエズダから声が掛かり、練習参加しました」。そうした挑戦の道中、伊藤はトルコ行きの切符を掴み、湘南と出会った。
ボスニア・ヘルツェゴビナ1部のNKズビエズダに加入し、シーズンに入ったが、しかし出番はすぐには回って来なかった。出場機会はファーストGKの出場停止に伴い急きょ訪れた。じつはこの出場のいきさつにも、ひと悶着あったらしい。
「最初の2試合は出てなくて、ビザの関係で10日間ぐらいの予定で日本に帰ってきたんです。でも帰る直前の試合でファーストGKがレッドカードをもらい、3試合出られなくなってしまった。ボスニアから20数時間かけて日本に帰ってきて、ビザの手続きを済ませてやっと家に着いたと思ったらマネージャーから連絡が来て、監督がおまえを次の試合で使いたいと言っている、いますぐ帰ってこいと。それでまた20数時間かけてとんぼ返りして、けっきょく日本に1日も滞在しなかったです(笑)」
結局ビザは許可を受けたうえで郵送してもらったという。チームに5人のGKがひしめくなか、伊藤はファーストGKに代わって出場した3試合で評価を高め、以降10節まで計8試合に先発した。
ところで、環境を変えたいと飛び出した先がなぜ東欧だったのだろう。
reported by 隈元大吾
「縦に紡ぎし湘南の」ではこのほかにも下記の記事などを掲載中です。
【横編み日記】GK伊藤剛の数奇な道のり(2)
http://www.targma.jp/shonan/2015/10/02/post1503/
【アカデミー通信】Jユースカップ1回戦・鳥取U-18戦、試合後コメント 時崎悠監督「選手たちは交代で入ったメンバーも含めて90分間、いまやれることをやり切ろうという気持ちでしっかり自分たちの力を出し切ってくれた」
http://www.targma.jp/shonan/2015/10/11/post1575/
【湘南vs松本】レポート:駒を進められなかった悔しさと、しかし得難い前進と。
http://www.targma.jp/shonan/2015/10/11/post1573/