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【情熱の分析家・河治良幸の一言解説】ポジショニング、駆け引き、そして技術。香川らしさ全開の初得点は今後につながる

2015 08/24  16:28





香川 今季リーグ戦初ゴールに上機嫌「いいゴールだった」(スポニチアネックス)

 ◇ブンデスリーガ第2節 ドルトムント4―0インゴルシュタット(2015年8月23日)

 ドルトムントの日本代表MF香川真司(26)は23日、敵地で行われたインゴルシュタット戦にトップ下で先発し、今季リーグ戦初ゴールを挙げた。



情熱の分析家・河治良幸の一言解説

 ELのプレーオフ第1レグに引き続き、記念すべき今季のブンデスリーガ初得点となりましたが、非常に良いゴールだったと思います。

 極めてスペクタクルなわけでも、ファンタスティックなわけでもありませんし、このゴールがシーズンのベストゴールにノミネートされることはないかもしれません。しかし、香川真司にとって今後に向け良いフィーリングを得るゴールになったことは間違いありません。

 すでに2-0という状況で、相手の守備も間延びしてきている時間帯ではありましたが、流れの中でボールホルダーのオーバメヤンはもちろん、途中出場とのホフマン、カストロと良い距離感でスペースに入っていけています。

 オーバメヤンが右サイドのライン際でヒンターセルとズットナーに囲まれたところでホフマンがサポートに入り、インゴルシュタットのディフェンスが同サイドに引き付けられたのですが、香川はむしろ動かず待つことで、より「美味しい」スペースでパスを受けることができました。

 心理的に余裕もあったのでしょう。背後からチェックに来るグロスの存在もしっかり察知しており、左足のファーストタッチから素早く右足のインサイドで左に持ち出すことでタックルをかわし、同時に縦を切りにきたマティプの逆を突くように股下を破るグラウンダーのシュートをゴール右に決めています。

 ペナルティエリア内のプレーはグロスとマティプという前後の守備者だけでなく、GKに対しても効果的でした。ナイラントはドイツ人GKが多いブンデスリーガでノルウェー人ながらインゴルシュタットの守護神を担う実力者です。

 この場面でもディフェンスの流れに合わせながら的確なポジションを取って準備していたと思いますが、香川がパスを受けたところでマティプとファーのレフェルスのちょうど間に構えました。二人のDFが門を作り、その間に飛んでくればナイラントが、左右の際どいところはどちらかのDFがブロックできるという、最適な選択をしたはずです。

 しかし、香川が中に切れ込み、そこにマティプが付いていくことで門の柱が壊れ、しかも彼の足元を破られたことで、ナイラントは一歩も動けずにボールがゴールラインを割るのを見送るしかありませんでした。完全な1対1であればナイラントも前に出るか、ギリギリまで我慢してシュートに反応するなどできたでしょうが、こういう状況はDFとの連係が関わってきます。ただ、マティプはマティプでシュートを止めるための判断をした結果で、香川がうまかったということです。

 流れの中でのポジショニング、ペナルティエリア内での駆け引き、そして正確な技術が見事にシンクロしたゴールでした。香川と言えばタイミング良くギャップに飛び込みながら、その勢いで合わせるゴールが多いですが、あえてスペースにステイしたところから巧妙な技術を加えてのゴールは良いイメージを次につなげられると思います。また控えの選手たちとうまく絡めたことも今後につながるでしょう。

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