【情熱の分析家・河治良幸の一言解説】ペトロヴィッチ監督の「代表とリーグの妥協日程案」が示唆することとは?
2015 08/13 12:32
浦和ペトロ監督、J&代表日程で"妥協案" 夏の中断見直しを(スポニチアネックス)
浦和のペトロヴィッチ監督が、日本代表活動とJリーグの兼ね合いについて"妥協案"を示した。
日本代表のハリルホジッチ監督が来季以降、代表活動直前のJリーグ開催日を土曜日に固定することを要求していることを受け「今の日程は代表チームにとってやりやすい日程でないのは確かだが、クラブとしても難しい状況にある」と言及した。
情熱の分析家・河治良幸の一言解説
東アジアカップは長い移動の後に2日間だけ練習して試合に臨む厳しい状況ではありました。代表チームの活動が優先される北朝鮮はもちろん、韓国はKリーグから1週間ありましたし、開催国の中国は移動がありませんでした。ただ、そうした事情を共有していながら、ハリルホジッチ監督の日程問題に関する発言を“言い訳”として扱っているメディアが多いのは事情があります。
メンバー発表会見で日程問題に触れたハリルホジッチ監督は「トレーニングができない、グラウンドが悪いという言い訳はしたくない。試合の前には言い訳をする。でも試合の後は言い訳しない」と明言していたからです。全般的に批判のための批判が増えてきている現在の風潮に警鐘を鳴らしたい一方で、チームを率いる指揮官として、大会中の発言に失望させられた部分はあります。
それはさておき、東アジアカップという代表チームの大会が国際Aマッチデーではないタイミングで入ることが、代表チームにもクラブチームにも少なからず影響しているわけです。ミシャ・ペトロヴィッチ監督の言うように、短い中断期間があって直後に中3日の連戦が暑熱の時期に入ってくる日程は選手に大きな負担を強いる部分があるのは確かでしょう。
セカンドステージ序盤戦で起こった負傷や体調不良すべてがその影響ではないと思いますが、多いのは確かです。中断期間と言ってもオフを取ってキャンプで準備していくのは短いですし、そこでコンディションを落としてしまうと最初の連戦でパフォーマンスがなかなか上がらないだけでなく、負傷のリスクも高くなるでしょう。
カップ戦はさておき、基本的に週末の試合に向けて休養、コンディショニング&フィジカル、戦術の確認といったサイクルがチームにとって理想的ですし、代表活動との相性もいいので、JリーグとしてもACLや代表戦との兼ね合いだけでなく、選手に負担の少ないサイクルで回していくのが理想論ではあります。ただ、夏休みの時期に平日開催が続くのは経営的な理由による部分が大きく、一筋縄ではいかない問題です。日程とパフォーマンス、負傷の相関関係もしっかり検証した上で、今後のスケジューリングに活用してほしいものです。