【川端編集長のニュース一言解説】オランダと富山第一高校から「PK職人GK」について考察
2014 07/07 17:17
ブラジルワールドカップ準々決勝「オランダvsコスタリカ」の試合でオランダのファンハール監督がPK戦突入前にGKを交代したことが話題となっています。
"GK交代"高校サッカーでも 選手権準決勝の富山第一(スポニチ)
PK戦の直前にGKを代える策は今年1月の全国高校選手権準決勝(国立)でもあった。
前回大会1回戦でPK戦負けしていた富山第一は2―2の後半ロスタイム、GKを2年生の高橋から3年生の田子に交代。
かわばた編集長の一言解説
オランダのファンハール監督、PK戦を前にGKを替える策で見事にコスタリカを下してみせました。正GKのシレッセンがPK戦を苦手にしている「弱点」を補うための術策とも言えます。大会前から考えていたのでしょうね。「奇策」ではありますが、日本だと高校サッカーや少年サッカーで「よく見る奇策」でもあります。
先の高校サッカー選手権で優勝した富山第一高校は、控えGKの田子真太郎をPK戦に向けて投入し、見事に勝利をつかんでいます。田子は「PK専用GK」なんて言われ方もしましたが、そこは誤解でして、リーグ戦のGKとして出場もしている選手でした。ちなみに、高校卒業後は消防学校に入校し、消防士を目指しているそうです。
効用としては「相手が勝手にビビる」ということが地味に大きいです。PKはキッカーが「ミスる」ケースも多いですからね。「すごいPKに強いGKなんじゃないか……」と相手に思わせられれば、しめたものです。今回のオランダ代表で言えば、代わりに出てきたGKクルルも実はそれほどPKに強くない選手だそうなので、その効用をより強く狙ったものだったのでしょう。
もう一つ見逃せない効用としてあるのは、サブに回る羽目になったGKのモチベーションコントロールです。前述の富山第一の田子は、下級生にレギュラーポジションを奪われてしまった選手です。チームのムードメーカーである彼の心が折れてしまうようだと影響は深刻です。「PK職人」という役割を与えることで、控え選手をモチベートする効用もあるわけです。一番出場の可能性が低い(と思われがちな)控えGKが精神的に元気だと、不思議と控え組全体が活気付くものだそうです。