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【町田】夢のJ1へーー。いま、僕たちにできること

2016 05/03  07:25

有料WEBマガジン『タグマ!』編集部の許可の元、タグマ!に掲載されているJリーグクラブ有料記事を全文掲載させていただいておりますこの企画。
今回はFC町田ゼルビアを中心としたWEBマガジン「町田日和」からコラムになります。



【★無料公開・特別寄稿】夢のJ1へーー。いま、僕たちにできること町田日和
2016年05月02日更新

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▼J2首位を走るチームの頼もしき姿

前節、敵地でのファジアーノ岡山戦は、2度のリードを許す苦しい展開だった。開始早々の5分にスローインの展開から先制点を奪われ、31分に相手のパスミスを狡猾に突いたカウンターで追い付く。しかし、1-1で迎えた38分。片山瑛一のロングスローから元日本代表DF岩政大樹による打点の高いヘディングシュートが決まり、再び勝ち越されてしまった。

警戒していたロングスローから勝ち越し点を決められた上に、今季初の複数失点。FC町田ゼルビアにとっては、ダメージが残る試合展開となったが、チームはまったく動じる気配もなく、59分に再び追い付くしぶとさを披露した。

しかし、町田の抵抗はタイスコアに持ち込んだだけにとどまらない。2-2となったあとも何度かカウンターで相手ゴールへと迫り、「勝ち点3を取れそうな状況にまで持ち込んだ」(相馬直樹監督)ことが評価できる岡山戦となった。

「J1昇格を本気で狙っている」(谷澤達也)岡山に対して、敵地でしぶとく勝ち点1をもぎ取る。同日、2位・セレッソ大阪が敗れたことで首位の座を2節連続でつかみ取ることに成功したチームの姿は、実に頼もしかった。コンパクトな3ラインを基軸に強固なブロックを築き、奪ったボールを素早い攻守転換でフィニッシュまで持ち込む。目下、リーグ最少失点タイ(暫定)で首位に立つなど、今季のJ2を席巻しているゼルビアに対して、さらなる高みのステージで挑戦してほしいという思いを抱く"ゼルビア・ピープル"は、一人や二人ではないはずだ。

しかし、現状はJ2ライセンスを所有する町田がJ1行きの資格を得ることは簡単ではない。まず、J1昇格の条件となるJ1ライセンスを取得するには、安定したクラブ経営と並行して、日本のトップリーグにふさわしいハード面の整備が必須事項となっている。

クラブの現況と照らし合わせると、主なハードルは、練習場を完備したクラブハウスと1万5000人収容のホームスタジアム。"野津田"こと町田市立陸上競技場の収容人員は、10,328人とJ1規定を満たしておらず、日々のトレーニング場である小野路グラウンドは、町田市所有の施設で自前のクラブハウスではない。現状のゼルビアが置かれた環境では、J1ライセンス取得の申請すらできない状況にある。チーム・選手が上位をキープし、成績面の条件はJ1昇格のチャンスをつかんでいたとしても、このままではJ1ライセンス取得という壁に阻まれてしまう可能性が高い。

▼J1昇格への機運を高めよう!

とはいえ、J1ライセンス取得への猶予がまったくないわけではない。クラブライセンス申請期限は、6月30日。ちなみに野津田はバックスタンドを拡張する形で1万5000人収容のスタジアムに生まれ変わる建設上のベースが整っているという。もちろん、スタジアム改修には膨大な予算が必要で、野津田は町田市所有の公共施設でもあるため、行政の認可が下りなければスタジアム改修は実現しない。もっとも、クラブハウスは立地の選定を含め、予算の問題も鑑みると、スタジアム改修よりもクラブハウス建設のほうがハードルは高いと言えるかもしれない。

だからといって、6月30日のクラブライセンス申請期限まで、このまま手をこまねいていても良いのだろうか。J2復帰1年目ながらも、首位の座をつかみ取っているチーム・選手の奮闘に報いるためにも、サポーターの立場からできる限りの手を尽くしてみてはどうだろう。

税金の投与には町田市民の理解が必要不可欠。娯楽に富んだこの時代に、町田市民の関心をサッカーやゼルビアに目を向けさせることは決して簡単ではない。しかし、情熱は人の心を動かす。1万112人が野津田に詰めかけたセレッソ大阪との開幕戦は人々の熱気にあふれていたが、あの熱気あふれる空間を、毎回のホームゲームで作り上げることができれば、市民の関心は否が応でも高まる。「毎試合野津田が満員になるぐらいもっともっとお客さんを集めたい」と常々話している守護神・高原寿康の思いは選手たちの総意でもある。

ゼルビア・サポーターが一人でもいい。友人を誘って、野津田に集う観衆を増やし、1万5000人収容のスタジアムが必要であることを印象付けてJ1昇格への機運を高める。そして町田市におけるゼルビアの重要性や必要性を説き、町田市民や行政にスタジアム改築とクラブハウス建設の支援をしてもらえるような大きなうねりを生み出すアプローチをしてみてはどうだろう。

例えば、市議会議員の連絡先は町田市議会のホームページに記載されているため、地元の市議会議員に年間約200回にも及ぶホームタウン活動を展開しているゼルビアの価値を伝え、支援を得られるような働きかけをすることも一つの手段である。ただし、署名活動は数の論理を押し付ける傾向があり、敵対視を生む可能性が否定できないため、筆者はオススメしない。

いくつかスタジアム改修とクラブハウス建設の支援を働きかける具体例を列挙したが、それらが少ない予算ながらもJ2首位を走る選手たちをサポートする一つの手段ではないだろうか。

▼2010年の記憶

振り返れば2010年、町田はJFLで4位以内という成績面のJリーグ参入条件と平均観客動員数の条件面を満たしながらも、スタジアム整備の問題でJリーグ参入を断念せざるを得なかった経験がある。その事実が発表されたあと、チームは天皇杯2回戦で当時J2の東京ヴェルディを破り、3回戦ではJ1のアルビレックス新潟を1-2まで追い詰めた。新潟戦で敗戦を告げるホイッスルがスタジアムに鳴り響くと、当時のエース・木島良輔はピッチを何度も叩いて、敗戦の悔しさを露わにしていた。

「天皇杯に勝ち進むことで、世間の注目を浴びて『なんで町田はJリーグに上がれないんだ?』という流れを作って、ミラクルを起こそうと考えていたんだけど、それもできなくなった」

新潟戦後に残した木島良輔のコメントは、第8節・V・ファーレン長崎戦で決勝点を決めた中島裕希が話した「自分たちが良い順位を残すことでいまの環境を変えていきたいという思いもある」という言葉と重なる部分が多い。キャリアが短いサッカー選手は1年1年がまさに勝負。"また来年、チャレンジできれば......"と悠長なことは言えない。目の前にさらなる高みのステージへ行く可能性(J1昇格の可能性)があるのならば、それをつかみ取ろうとするのは、選手の本能だろう。

2010年は既成事実に抗う格好となったが、今回は幸いにも、まだ時間がある。あきらめるのは、まだ早い。夢物語である"J2昇格即J1昇格"へーー。ゼルビアを愛するファン・サポーターにいまできることは、きっとある。

Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)
Photo by cFC町田ゼルビア


町田日和」ではこのほかにも下記の記事などを掲載中です。


【マッチプレビュー】J2第11節・FC岐阜戦/3連戦第2ラウンド。ベールに包まれた相手との"神経戦"
http://www.targma.jp/machida/2016/05/03/post4232/

【コラム】J2第11節・FC岐阜戦/MF 6 リ ハンジェ『運命の出会いと数奇なる縁』
http://www.targma.jp/machida/2016/05/02/post4209/

【マッチレビュー】J2第10節・ファジアーノ岡山戦/"町田包囲網"をはね除けた相馬ゼルビアの"真骨頂"。勝ち点1奪取で首位堅持
http://www.targma.jp/machida/2016/05/01/post4194/

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投票

町田日和について(1票)

Bonner(IP:188.143.232.32)

Thinking like that is really impesrsive

2016年6月21日 11:06

FC町田ゼルビアについて(1票)

匿名(IP:202.223.73.212)

町田ゼルビアは、町田の“広島東洋カープ”になれ!
町田市民のためのJリーグクラブ、郷土愛溢れるサッカーチームにすべき!

2016年10月12日 04:02

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