僕たちの町にはアビスパがある
2015 10/08 06:41
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今回はアビスパ福岡を中心としたWEBマガジン「football fukuoka」からちかっぱめんたいマッチに関する記事になります。
僕たちの町にはアビスパがある(football fukuoka)
2015年09月26日更新
熱戦!ちかっぱめんたいマッチ
9月20日、レベルファイブスタジアムには今季最高となる13,873人の観衆が足を運んでいた。この日はアビスパ福岡のクラブ創設20周年記念試合。試合前に行われる20周年記念OBマッチ「ちかっぱめんたいマッチ」を見ようと、今季最多となる観客がレベルファイブスタジアムに足を運んだ。参加したのは、かつてアビスパに在籍した選手と、初代監督を務めた菊川凱夫氏ら32名のOBと、タレントのウーゴ・加藤・マラドーナ、地元局のアナウンサー、サポーターら46人。そして、ボールパーソンは、サッカーを通して、年代を超えて仲間を増やし続けるAFS(アビスパファミリーサッカー)の面々が務めた。
ちかっぱチームを率いるのはピッコリ監督。めんたいチームの指揮を執るのは菊川監督。そして先制点は「めんたい」。前半20分、NHK福岡局の小宮山晃義アナウンサーの鮮やかな右からのクロスに、江口倫司が頭から飛び込んだ。「ちかっぱ」の同点ゴールは後半4分。宮原裕司のクロスに小倉裕介が右足インサイドで合わせる。そして、ここからは「ちかっぱ」の時間帯。同12分には、ディエゴ・加藤・マラドーナの左足が、約20メートル先のゴールを捉え、その1分後には、久藤清一がGKをかわして3点目を流し込む。
「めんたい」も黙ってはいない。同18分、ゴール前に詰めていた久永辰徳がオーバーヘッド気味に捉えたボールがゴールネットを揺らし、同20分には、古賀誠二のFKがペナルティエリアにこぼれたところを、有光亮太が左足ボレーで豪快にゴールにたたき込んだ。運動量こそ衰えは感じられても、走る姿、ボールを蹴るフォーム、ピッチに立つ背中から感じられる雰囲気等々、現役時代そのままの姿に観衆が沸き、その声援を受けて選手たちはボールを追った。スタジアムに集う全ての人たちが、思い切りサッカーを楽しんだ40分間だった。
改めて感じる20年の意味
さて、この日、スタジアムを歩きながら気が付いたことがある。限定販売された記念ユニフォームはもちろん、様々な時代のレプリカユニフォームがスタジアム中に溢れていたことだ。また、そこに集う人たちの年代も、ご年配の方から若者まで様々。生活環境が変わったことで、スタジアムに足を運べなくなっていた人たちも、この日のためにやって来た。もちろん、あの頃から、変わらずに通い続ける多くのサポーターたちもいる。
そんな光景を見ながら、改めて積み重ねて来た歴史を感じずにはいられなかった。思えば、街頭キャンペーンで一緒にチラシを配った小学生は、今では大学生になっているはず。スタジアムで独身時代に知り合った友人には、もう子どもが何人もいる。サポーター同士で結婚をし、今では子どもと一緒にスタジアム観戦をする人たちもいる。また、生活環境が変わりながらも、あれこれやりくりしながら、変わらぬ姿勢でスタジアムに通い続ける人たちもいれば、この20年の間に新しい仲間たちも増えた。
様々な出来事を繰り返しながら積み重ねて来た20年。いいことばかりではなかったが、そうして歴史を重ねてきたことで、関わって来た人たちの世代は幅広く広がり、アビスパは特別な存在でありながらも、同時に多くの人たちにとっての日常にもなった。この日のレベルファイブスタジアムは、それを強く感じさせる空気に包まれていた。
全てはアビスパがあれぱこそ
そして、この日、参加したOBをはじめ、アビスパの職員、ファン、サポーター、それぞれの人たちが等しく口にしたのが感謝の言葉。それは、かつての仲間と再会できたことに対するものだけではない。
勝利を目指して、ただひたすらに戦う姿は、私たちに夢と希望、そして感動を与えてくれた。それを力に変えて、自らの夢にチャレンジした多くの人たちがいる。その力で、目の前に立ちはだかる困難や、理不尽な出来事をはねのけた人たちがいる。そしていま、目の前の困難を乗り越えようとしている人たちがいる。また、同じ空間、同じ時間を過ごすことで、年代、性別、あるいは社会的な立場の違いを乗り越えて、多くの欠けがいのない仲間たちと知り合うことが出来た。全ては、アビスパが私たちの町にあったからだ。
同時に、プロ選手として必死にトレーニングを重ねた日々と、それを後押しするファン、サポーターの存在は、選手たちにも勇気を与えて来た。かつて、元ピッコリ監督は「チームとサポーターは鎖のような関係」と話したことがある。選手の頑張りがサポーターに力を与え、その力が大きな声援となって選手の背中を押し、さらに選手が力を発揮する。その関係が繰り返されながら、お互いに力を与え合い、大きくなっていくという意味だった。それもやはり、この町にアビスパというクラブがあるから生まれるものだ。
この日のスタンドの光景を見て改めて実感した町にプロスポーツクラブがある意義。その意義を噛みしめながら、次の20年に向けて歩いていきたい。
【中倉一志=取材・文・写真】
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