情熱の分析家・河治良幸の一言解説

　日本代表DF酒井高徳が2011年12月にアルビレックス新潟から移籍してから、3シーズン半に渡ってプレーしてきたシュトゥットガルトに別れを告げ、ハンブルガーSV（HSV）に移籍することとなりました。

　左右のSBをこなす有用な選手として、所属期間の大半で先発出場してきたものの、昨季はラスト9試合で1度も出場なく、前回の代表メンバー発表ではハリルホジッチ監督が酒井高徳を選出はしたものの、次のようにコメントしていました。

「酒井高徳もあまり（クラブで）プレーしていない。国内のサイドバックのプレーを見たが、高徳よりもパフォーマンスが良い選手を今は見つけていないだけだ。ただ、高徳より良い選手を見つければ明日にでもすぐ呼ぶ」

　実際に親善試合のイラク戦、2次予選の最初となったシンガポール戦ともに酒井宏樹が右SBで優先的に起用されました。その状況は酒井高徳もよく自覚しており、来季は再びクラブ出続けて、代表でのポジション争いにつなげていく意志を表明していました。

　その意味でもシュトゥットガルトの1年目で師事したラッバティア監督が率いるHSVは理想的な環境と言えるかもしれません。ここ数シーズンの成績は安定しておらず、昨季は後半戦で途中就任したラッバティア監督が立て直し、何とかプレーオフで山田大記を擁するカールスルーエを振り切って残留を決めるような状態です。

　ただ、ブンデスリーガでも屈指の名門クラブであることは間違いありません。1887年に創設されブンデスリーガでも回優勝しており、1982-83シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグ（当時はチャンピオンズカップ）も制覇しました。現在もドイツ代表歴のあるMFホルトビーやチェコ代表のMFイラチェクなど上位進出も狙える戦力を保持しています。ちなみに元セレッソ大阪のカチャルも在籍しており、終盤戦は残留に大きく貢献する活躍を見せました。

　もちろんレギュラーが保証されているわけではありませんし、酒井高徳自身も競争を嫌ったわけではないと思いますが、やはり試合を出続けてこそ経験値を増やし、コンディションも維持していけるもの。新天地でしっかりポジションを確保してくれることを期待します。