新体制となった松本山雅U-18。注目したい3つのポイント
2015 05/18 07:19
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今回は松本山雅FCを中心としたWEBマガジン「松本雷鳥通信」から松本山雅U-18に関する記事になります。
【雷鳥報道・ユース】新体制となった松本山雅U-18。注目したい3つのポイント。(2147文字)(松本雷鳥通信)
2015年04月26日更新
■注目したい、"兄貴分"臼井弘貴新監督の指導
松本山雅U-18の2015年シーズンが3月21日に開幕した。
高校とクラブユースのチームが総当りで戦う高円宮杯U-18サッカーリーグ。1stチームが長野県2部、2ndチームが長野県3部で戦うことになる。昨年からそれぞれカテゴリを一つ上げ、よりレベルの高い環境で自身を磨くことができるようになった。
昨年からの大きな変化の一つは、監督の交代である。2年間指導した岸野靖之前監督がJ3カターレ富山の監督に就任し、臼井弘貴コーチが内部昇格で監督となった。就任発表は岸野前監督の退任発表から間が空いており、様々な選択肢を模索した上での決断だったことは容易に想像できる。
臼井新監督は、松商学園のエースとして全国高校選手権に出場し、日本大学へ進学。関東大学サッカーリーグ2部で阿部吉朗、中村憲剛らと共にベストイレブンを獲得した。
※出展
その後は長野エルザSC(現AC長野パルセイロ)でエースストライカーとして活躍し、文字通り信州サッカー界を牽引した経歴を持つ。2012年から松本山雅ユースアカデミーコーチに就任。岸野前監督の厳しくも情熱のあふれる指導をコーチとして間近で体験しており、方針の継続を重視した選択となった。35歳と若く、選手の兄貴分のような新監督の指導に注目だ。
■U-18も山雅の名を背負ってひたむきに
新チームは、攻撃陣は昨年も主力だった選手が継続しているが、守備陣は不動のレギュラーが卒業し、新たな選手が入った。
前線は、体格と技術で攻撃を引っ張るキャプテン塩原健、正確なキックとカットインが魅力の唐澤真三郎、凄みを増したスピードスター高橋晟弥に加え、キープ力と反転の上手さが光る小松蓮が攻撃を担う。
ボランチは、前に出ていく力のある成瀬和弥と、冷静沈着にボールを捌くレフティー杉山俊がコンビを組む。
センターバックは、フィードの良い左利きの山寺優作と、センスの良さを買われてアタッカーからコンバートした中村亮太が入る。
サイドバックは、右に渋木俊、左に河地迅也の昇格組が、ゴールキーパーには昨年は第2ゴールキーパーだった古瀬圭佑が固める。
攻撃は開幕から順調に得点を重ねるなど安定感があるものの、守備は昨年に比べると声を出してポジション修正ができる選手が少なく連携に不安が残る。守備的なポジションでは、サブにはボール奪取力のある林拓実、カバーリングに長けた田中絵人、2ndにはインターセプトのタイミングが良い巾下颯太、総合力の高い卯花飛来などが控えている。新入団選手ではU-15から昇格した前島皐月が早くもゴールを決めており、チーム内競争が激しくなりそうだ。
システムは基本的に4-5-1となっている。3バックにもトライしているが、カウンターで危ない場面が増えるなど攻守のバランスの取り方に苦戦している。技術向上もそうだが、戦術もトップチームとの統一性が取れるようになることが課題である。トップチームへの練習参加も行われており、そうした機会を利用して理解を深めることも今後必要になっていくだろう。
ユースであっても運動量や球際の強さといった山雅スタイルは色濃く受け継いでおり、ある意味トップチーム以上の山雅らしさを感じることもある。松本に暮らす高校生が、山雅の名を背負ってひたむきに戦う。サッカー的にも人間的にも音を立てて成長していく。ユースの魅力はこのような部分に詰まっている。この楽しさに是非とも触れていただきたいと願っている。
■情報量と環境面の充実で人材育成へ
新たな変化といえば、松本山雅ユースアカデミーのHPの充実ぶりも特筆に値する。
スケジュールや試合日程・結果のページが追加され、過去の記録や今後の試合予定を簡単に把握することが出来るようになった。急な会場変更などもすぐに反映され便利である。以前は長野県サッカー協会や高体連のHPを照らしあわせて確認しなければならなかったため、非常にありがたい。
長野県サッカー協会のHPも大会結果がカテゴリごとに整理され、非常に使い勝手が良くなった。現在の順位・勝ち点や得失点差など、知りたい情報をすぐに知ることが出来るため重宝する。
このように情報を知りやすくなったためか、昨年に比べて観客が増加している。毎試合少なくとも100人以上が試合を見守っており、注目度の高さを物語っている。試合会場も、かりがね運動公園での開催が多く、プレー面もそうだが観戦面でも環境が良くなった。これまでフラットな会場がほとんどで、1メートル程度の段差であっても選手の位置関係が把握しやすくなり非常に助かっている。
2ndチームは残念ながら高校の土のグラウンドでの試合が多いが、リバーフロントの天然芝での試合も予定されている。雨でぬかるんだ土のピッチに苦労しているところを見ると、長野県全体のサッカー環境はまだまだ改善の余地があると感じる。ボトムアップがあってこそ頂きが高くなるもの。トップチームを支える部分にも目を向けていただけると幸いである。
【プロフィル】安瀬朗人(あんぜろうと)/北信越リーグや松本山雅ユースを中心に、風来坊的にふらふらと各地のサッカーを観戦。現地で観戦するしか情報が出てこないサッカーの魅力に取りつかれ、深く静かに潜航中。
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【松本vs神戸】レビュー:そのスタイル、最後まで揺らがず。神戸の持ち味を消した松本の勝利!(1287文字)
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