「新スタジアム構想検討委員会」設立。スタジアム建設の小さな第一歩に【モンテディオ山形】
2015 05/17 06:42
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今回はモンテディオ山形を中心としたWEBマガジン「Dio-maga」から新スタジアム構想検討委員会に関する記事になります。
【嶋コラム:ピッチの片隅で魂を叫ぶ】「新スタジアム構想検討委員会」設立。スタジアム建設の小さな第一歩に。(1)(Dio-maga)
2015年05月06日更新
現在のモンテディオ山形が抱える大きなテーマの一つ、いわゆる「新スタジアム問題」。発端となった市川昭男山形市長の発言からすでに2年が経過しましたが、話を進めるための第一歩がようやく踏み出せそうです。
4月23日のモンテディオ山形決算報告会見の中で、新スタジアム建設に関して、モンテディオ山形の髙橋節社長が私設で立ち上げる「新スタジアム構想検討委員会」が発足することが発表されました。
5月中旬には委員会を立ち上げ、集まった意見などを進捗状況に応じて公表しながら、15年の秋口までに意見をまとめて、最終的にモンテディオ山形の意見として提案する予定となっています。
ではこの委員会、一体何をどこまで検討する組織で、高橋社長は新スタジアムにどういう考えを持っているのでしょうか。それが今回のコラムのテーマです。
髙橋社長の会見を元に、この委員会が立ち上がった経緯をまとめながら解説します。
国内外のスタジアム事例なども交えながら、サッカースタジアムと街づくりの魅力を語る髙橋節社長
●クラブライセンス制度も関係した「新スタジアム構想検討委員会」の設立の経緯
まずはこれまでのスタジアム問題の経緯をおさらいしましょう。
モンテディオ山形のスタジアム新設問題は、13年2月、市川昭男山形市長がホームスタジアムの移転も視野に入れたスタジアムを建設したいと表明したことに始まりました。きっかけとしては良い発言だったのですが、現在のホーム、NDソフトスタジアム山形のある天童市の山本信治市長が新スタジアム建設に懸念を示した事で、建設場所の誘致合戦のような展開になってしまいました。本来最初に行われるべきはずの「新しいスタジアムを作る」という議論を飛ばしてしまったんですね。
「どういうものを作るのかの話がなされないまま、場所の誘致合戦になってしまった」(髙橋社長)
具体的な議論はほとんど行われず、歩み寄る兆しも無かったため、しばらくの冷却期間を置くことになります。その後、14年12月に吉村美栄子山形県知事から「まずはチームの立場で検討されるもの」という発言がでて、現在はモンテディオ山形側からの反応を待つという状況になっています。
ここまでが、スタジアム問題の大まかな流れです。
さて、話は前後しますが、スタジアムに関しては別の所でも問題が発生していました。
クラブライセンス制度に関して、14年9月末にモンテディオ山形のJ1ライセンスが交付されましたが、屋根の範囲やトイレの数が足りず、Jリーグ側から制裁措置を受けました。
観客席の屋根は全ての席を覆うようにと変更されていますが、NDソフトスタジアムの席に屋根があるのはロイヤルボックスの周辺の100席ほど。洋式トイレも1000人あたり5据必要なのに対して、0.9据しかありません。これらはB等級基準のためライセンスこそおりますが制裁措置を受けてしまいます。
制裁措置を受けるのは一昨年と同様。ですが今回は、「アジアサッカー連盟の基準に反していると通告される可能性がある」という記述が加えられ、こんな制裁措置を受けたのだそうです。
「10月末までに、モンテディオ山形のスタジアムに関する抜本的な改善計画(これまでの取り組みと今後の活動計画)をJリーグに提出するように」
要は、これまでの返答のように「施設保有者の県にお願いします」でお茶を濁さないように、ということのようです。
これも結構困った話なのですが、実はクラブ側は、先のスタジアム問題の件もあって、社内で独自に問題を整理していたようで、14年10月に「スタジアム整備に向けた検討について」という内部資料が作られていました。
内部資料なので中身を見ることはできませんでしたが、髙橋社長曰く、
「我々は山形県一円をホームタウンにしている立場から、地域間競争は好みません。お客さんの観戦環境についてはクラブとしてもしっかりと考えなければいけません。この部分は主体的に行います」
「都市社会問題解決の起爆剤になるのではないか。地域の産業活性化やスポーツ文化振興と幅広い意味で有用なものになるのではないか」
といった内容。
この内部資料は、奇しくもJリーグの実行委員会が作成して各自治体などに配っている「スタジアムを核としたまちづくりについての提言」という冊子と類似点も多く、「多機能な街づくりという形でスタジアム整備を目指すべき」という点では一致しているとのこと。
このため、14年10月末、モンテディオ山形はこの内部資料を日本サッカー協会に添え、「こういう考え方を持っています。次年度以降取り組みたい」と回答して、今回の制裁措置に対応しました。
当初あったスタジアム問題ではモンテディオ山形側の反応を待つ状況。遡って日本サッカー協会側にもスタジアムについては次年度以降取り組みたいと返答している。
これに昨年のJ1昇格や株式会社化した体制も落ち着いたことなどもあって、機が熟したとして、今回の委員会が設立されることになった。こういう経緯があったようです。
ちなみに今回の議論は当然新設のみ。トイレを増やしたり屋根を掛けたりといった、スタジアムの改修はまったく考えていないそうです。
「(改修では)観ているお客さんのホスピタリティを向上させることができない。新設の方向に舵を切って議論を進めたい」
(2)へ続く
※【嶋コラム:ピッチの片隅で魂を叫ぶ】「新スタジアム構想検討委員会」設立。スタジアム建設の小さな第一歩に。(2)
「Dio-maga」ではこのほかにも下記の記事などを掲載中です。
【嶋コラム:ピッチの片隅で魂を叫ぶ】「新スタジアム構想検討委員会」設立。スタジアム建設の小さな第一歩に。(2)
http://www.targma.jp/yamagata/2015/05/06/post590/
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