【情熱の分析家・河治良幸の一言解説】ハリルホジッチ監督の「日本人GK論」をどう理解すべきなのか?
2015 05/12 15:39
ハリル監督 日本人GKに注文連発「もっと叫ぶ声を聞きたい」(スポニチアネックス)
◇ハリルホジッチ監督 国内合宿前日会見(2015年5月11日)
ハリルホジッチ監督が日本人の全GKへの注文を連発した。
2015 05/12 15:39
ハリル監督 日本人GKに注文連発「もっと叫ぶ声を聞きたい」(スポニチアネックス)
◇ハリルホジッチ監督 国内合宿前日会見(2015年5月11日)
ハリルホジッチ監督が日本人の全GKへの注文を連発した。
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情熱の分析家・河治良幸の一言解説
ハリルホジッチ監督によればGKは「もう二人呼ぼうと思っていたがケガをしてしまった」とのことです。個人名は出していませんが、レギュラーGKでシーズン中に負傷した選手ということで、二人が誰なのかは想像できるかと思います。
ともあれGKの選出はリカルドGKコーチの意見も聞きながら行っているようで、川島永嗣がベルギーで出場機会を失っていることもあり、今後の競争によって序列も変わってくる可能性もありそうです。開幕3戦目からベガルタ仙台の先発GKに定着し、サプライズ招集となった28歳の六反勇治もアピール次第では常連を脅かし、逆転する可能性はあります。
ハリルホジッチが日本人GKの課題として挙げた「空中戦」「声」「フィジカル」という要素は、まさに六反の強みと見事なまでに一致するのは面白いところです。詳細はベガルタ仙台の番記者である板垣晴朗氏がJ論のコラムに書いているので、ぜひご一読ください。
(サプライズGK六反勇治。シーズン前の「代表入り宣言」から、高橋範夫GKコーチと日々積み上げたもの)
日本のGKはシュートに対するポジショニングやセービングの技術はなかなか高いものがありますが、クロスや横方向からのハイボールに総じて弱く、それは日本のゴールマウスを任されて来た川島永嗣や今回のメンバーも例外ではありません。
加えてハリルホジッチは周囲に対するコーチング不足も指摘しています。現在のメンバーで、最も声が練習場に鳴り響いているのはチュニジア戦で先発した権田修一で、ハリルホジッチ監督が彼を高く評価するのは視察した試合でビッグセーブを連発したからだけではないように思います。
総合力の点で素晴らしいものがある東口順昭もハリルホジッチが指摘する要素がそのまま課題で、逆に言えばそこを強くアピールできれば守護神の道も見えてくるはず。練習でも試合でも集中力の高さが目を引く西川周作にしても、「逆サイドにいる時にキーパーの声を聞きたい」と指揮官が語る「声」の部分ではもっと主張して良いと感じます。
GKというのは専門性が強く、目の肥えたファンでもビッグセーブや明らかなミスを除くと、具体的に良いプレーをイメージしにくい部分はあると思いますが、ハリルホジッチ監督が出した「空中戦の存在感」と「声」の部分は試合で見ていても分かりやすいので、クラブレベルでもファンがもっと要求していいのかもしれませんね。
もう一つ、ハリルホジッチ監督が指摘する「あまりフィジカルトレーニングしない」という部分には反論したい選手やクラブのGKコーチもいるかもしれませんが、それぞれがより自覚し、厳しく取り組んでいくことで見返してほしいですね。
ただ、何より日本サッカーの問題はGKが試合で経験を積む機会が限られるということで、U-20やU-23のチームやリーグがほぼないという問題もフィールドの選手以上に大きいように思います。若い選手にプレー環境を提供する努力なくして、本当の意味でこのポジションが成長していくことは望めないとも考えています。