フィッカデンティ監督「正しいタイミングが来たら(正しい姿になる)準備はできている」この姿、本物となるか【G大阪vsFC東京レビュー】
2015 03/13 06:34
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今回はFC東京を中心としたWEBマガジン「トーキョーワッショイ!プレミアム」からFC東京視点でのガンバ大阪戦レビュー記事になります。
【第3報】コラム◆明治安田生命J1リーグ第1節ガンバ大阪対FC東京「正しいタイミングが来たら(正しい姿になる)準備はできている」という、モンテディオ山形に敗れた直後の予言を、自らの手腕で回収したマッシモ フィッカデンティ監督。この姿、本物となるか(2015/03/08)(トーキョーワッショイ!プレミアム)
2015年3月8日更新
第3報コラム◆明治安田生命J1リーグ第1節ガンバ大阪対FC東京「正しいタイミングが来たら(正しい姿になる)準備はできている」という、モンテディオ山形に敗れた直後の予言を、自らの手腕で回収したマッシモ フィッカデンティ監督。この姿、本物となるか
四連戦の四試合めとなるガンバ大阪のコンディションがあまりよいものではなかったにせよ、昨年のリーグ覇者でありトリプルクラウンを達成したガンバ大阪を相手に、これだけの試合をしたことはおおいに自信となるだろう。
試合後、ガンバFWパトリックは「後味の悪い試合になってしまった。2点リードしているなかで、若干引く感じになったと思うんですね、チームが。それで相手に攻撃の隙を与えてしまった(1失点め)。2失点めは武藤の足許にちょうどいいボールがこぼれ、決められた、という感じです」と神妙な顔で語っていたが、われらがキャプテンモリゲ、森重真人は淡々と「自分らがやるべきことはしっかりできた」と語り、引き分けなのに、絶妙なコントラストを見せていた。
まず相手に合わせたディフェンスである。
通常なら森重真人が2センターバックの左、カニーニか吉本一謙が右という構成だが、J1第1節対ガンバ大阪戦に於いては、森重が右、カニーニが左だった。ガンバの2トップは右にパトリック、左に宇佐美貴史だから、いつもの組み合わせだと森重がパトリック、カニーニが宇佐美を見ることになる。しかし左右を入れ替えれば、森重が業師の宇佐美を止め、カニーニが長身とパワーのパトリックを止めることになる。このほうが合理的だ。
実際、2失点めを喫した直後にも、森重が宇佐美からボールを奪うシーンがあった。
1失点めも2失点めもそのシーンだけを取り出してみると問題だが、全体を通しては、適切なバランスとポジショニングで、ガンバの勢いを削いでいた。
マッシモ フィッカデンティ監督は「スペースがある状態に於けるガンバは危険だが、その状態で繰り出してくるガンバのカウンターを限定できた」と言っている。要所でやられてしまったことは反省材料。しかし組織としては抑えることができた。
ガンバに奪われるゴールを最小限にとどめたのは、もちろんFC東京が主体的にボールを動かしたせいでもある。
羽生直剛が言うように、つなぐこともでき、もちろん自分でボールを運ぶこともできる河野広貴を含むメンバーは、ガンバを相手にピッチを「面」で制圧した。
昨年は引いて守り、0-0ベースで安定するかわりに、攻撃の爆発力が気まぐれな、得点に期待しにくいチームになっていた。ことしは守備のよさに磨きを加えながら、より主体的な支配と、ゴールをめざす攻撃に傾倒した意識が浸透してきている。
端的に言えば、昨年の守備に攻撃を上積みしつつある。
そして第1報でも書いたが、淡々と試合を継続できるようになってきている。
いままでなら、誤審に対してナーバスになり、PKでの失点に気落ちして、そこで終わっていたはずだ。しかし開幕戦の東京は、お手本とする鹿島アントラーズのように、淡々と2-0から1点ずつを積み重ねるサッカーをしようとしていた。2-0にも気持ちが切れていなかった。
もちろん、林容平のような熱さを持った男の投入、布陣変更といった「フィッカブースト」がなければうまくいかなかったかもしれないが、補助輪がなければまっすぐこげないわけではなく、選手たちは自分の足で立とうとしていた。それに対するベンチワークの手助けだから、困難な状況からの同点に結びついた。
いままで成し遂げられなかった試合運びを実現した。これは弱い相手に4-0、5-0で勝つよりも喜ぶべき進歩だ。
あまりにうまく行きすぎて気持ち悪いくらいだが、これがまだ開幕戦にすぎないというのがひとつの罠だ。昨年の開幕戦も東京はいい試合をして引き分けた。問題はここから。序盤でつまづけば、前半戦でさんざん苦労して、夏の中断期間に修正した昨年と同じことになってしまうかもしれない。
ボール支配の安定感に関して言うと、ランコ ポポヴィッチ監督二年め前半戦の固定メンバー期の安定感に似ていなくもない。ことしのチームはかなりメンバーを固定して開幕を迎えている。熟練度が組織力を後押ししている部分もある。
「正しいタイミングが来たら(正しい姿になる)準備はできている」という、モンテディオ山形に敗れた直後の予言を、マッシモ フィッカデンティ監督は自らの手腕で回収した。これが本物になる過程かどうかは次節でわかる。
横浜F・マリノスは、開幕戦こそ川崎フロンターレに敗れたとはいえ、年間を通しては失点数が少なくオーソドックスなサッカーができる、芯のあるチームだ。彼らを相手に勝つことができれば、勝点4となり、おおいに意気上がる。しかしまた引き分けで二試合の合計勝点が2となれば、暗雲が垂れ込めるかもしれない。
このしぶとさが本物となるかどうかは、ここからの日々の積み重ねにかかっている。
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