【情熱の分析家・河治良幸の一言解説】南野拓実が欧州移籍。ところで、ザルツブルクって?南野は出られるの?
2015 01/06 10:36
【C大阪】南野、ザルツブルク完全移籍 2月欧州デビューへ(スポーツ報知)
C大阪のU―22日本代表FW南野拓実(19)が、オーストリア1部ザルツブルクに完全移籍することが5日、決まった。この日、両クラブ間で大筋合意。複数年契約で年俸は40万ユーロ(約5760万円)、移籍金は120万ユーロ(約1億7280万円=金額はいずれも推定)。南野は6日に渡欧し、7日のチーム始動から合流する。最速で2月15日、リーグ中断明けのアウェー・ノイシュタット戦が欧州デビュー戦となる。
【情熱の分析家・河治良幸の一言解説】
まだA代表で候補止まり、19歳の日本人選手に対して移籍金120万ユーロは破格の値段。中学時代から桜色のユニフォームを着ていた南野としても、しっかりお金を残してクラブを巣立っていけるということで、気兼ねなく欧州での挑戦をスタートできるだろう。
ただ、誤解されがちだが、世界的な飲料メーカーのレッドブルが所有するザルツブルクは「ただの金満クラブ」ではなく、国内リーグの王者であると同時に、今季はヨーロッパリーグ(EL)で圧倒的な強さを誇っている、欧州有数の強豪クラブである。特に攻撃陣のタレント力を比較するならば、ブンデスリーガやセリエAの下位クラブより"揃っている"。
昨季のオーストリアリーグで31得点を記録し、得点王に輝いたスペイン人のソリアーノはバルセロナBの出身で、高いテクニックとゴールセンスに定評のあるストライカー。今季も前半戦を終えて19得点をたたき出し、ゴールランキングを独走している。相棒のブラジル人FWアランも昨季26得点をあげており、チャンスメークにも定評がある選手だ。
2列目には20歳ながらすでにオーストリアのA代表でアラバ(バイエルン)、やヴァイマン(アストン・ヴィラ)などと魅力的な攻撃を披露しているザビッツァー、若きタレント軍団のベルギーU-21代表で中心を担うテクニシャンのブルーノが主力を形成している。ただし、ザビッツァーは多くの欧州ビッグクラブが狙う逸材であり、ブルーノにいたってはドイツ2部のライプツィヒが所有しており、今月のレンタル期間終了をもって、他クラブに移籍するとも見られる状況だ。
そんなチームでいきなりレギュラーが保証されているわけもないが、ザルツブルクにとってシーズンの再開は2月15日のノイシュタット戦で、ELラウンド32のビジャレアル戦が19日と、時間はある。正式契約を結び、地元のメディアやファンにお披露目することが先決だが、キャンプやテストマッチでしっかり存在をアピールすると共に、スタッフやチームメートとコミュニケーションを取り、少しでも早くドイツ語を習得してほしい。
もちろん、若い南野にとってここがゴールではなく、欧州の入り口であることは間違いないが、ここで活躍できなければ先のステップアップも見込めない。また近い将来のA代表入りを果たす意味でも早期のレギュラー定着が望まれるが、焦り過ぎることなく欧州の環境で成長していってほしい。