「ヨットは風がなくなったら終わり。逆風でも前に進むんだよ」大木武監督、首位との決戦に向けた再整備【J2第38節FC岐阜Preview】

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FC岐阜が苦しんでいる。
東京ヴェルディと引き分けて連敗を10で止めたものの、ツエーゲン金沢とレノファ山口に連敗。特に4失点を喫しての大敗には、内外に危惧する声が大きく上がった。

前節はファジアーノ岡山に勝ってじつに14試合ぶりとなる勝利を収めた。しかしかつてのようにコンビネーションで相手守備組織にギャップをつくり崩していくサッカーはできなくなり、内容がいいとは言い難い試合だった。
ただし、得点場面に関して言えば、いずれも高い位置でボールを奪い、そのまま攻めきったことは、大木サッカーの基礎が失われていないことを示しているようにも思えた。

ショートパスかロングパスか、攻め方はいろいろあれど、まずボールを奪わなければ攻撃はできない。前節、ファジアーノ岡山から奪った2得点は、高い位置で奪えたことがよかったのではないか──と訊ねると、大木武監督は頷いた。ただし「攻撃がうまくいかないときでも、高い位置からプレッシャーをかける姿勢は身についたという証ではないか」と問いを重ねると、答えは全肯定ではない「YES」になった。
「身についたと思うけれども、やっぱりどこかで徹底できていない。パーフェクトではなくとも8割方はできると思っていることが、このゲームではいきなりできなくなる、ということが起こる」

もともと大木監督が掲げるサッカーは、日本が世界に勝つにはどうしたらいいかという考えを突き詰めたもの。よくショートパスが特長だと言われるが、それはあくまでゴールを狙う過程の手法であって、基本はコンパクトな組織でプレッシャーをかけてボールを奪うアグレッシヴな守備にある。

集団で相手を囲み、ボールを奪った瞬間は、味方同士の距離も近い。そこで短いパスをつないでボールをすばやく動かし、相手ゴールに向かう。ショートパスの前には、プレッシングとハードワークがある。

大木監督ももちろんそう選手たちに伝えているはずだが、徹底的に刷り込んだつもりが、伝えきれていなかったようだ。
「きょう(19日)もチェルシーのゲームを見せた。昔のバルサもそうだけれど、パス廻しがすばらしい、と。みな、初めから終わりまでパスをつないでシュートまで行っていると、大きな勘違いをする。奪うイメージを持ちそういう守備ができる、ボールを獲ったときから攻撃ができると、そういうところは昨年からめざしてきているわけだけど、だいぶ減ったかもしれない。徹底できていると思ったら、できていなかった。できると思っていたことが試合でできない。そういう感覚のズレが私のなかにある。(アグレッシヴに)奪って点を獲る、ぜひそうありたい」

崩せなくなってきている、という危惧を伝えると、大木監督はその原因をこう述べた。「金沢戦が終わったあとにロングボールの練習をした。そこに神経が集中してしまった。針が振れてしまった」。
この手法を強調して前線のポジションが約束事を徹底し、走った結果、ゲームが落ち着かなくなってしまったというのが大木監督の反省であり、分析だった。

「それが悪いわけではなく、それをやりつつこちらもやる」
針を元に戻すとゼロになる。そうではなくロングボールを強調したやり方を「10」でやりつつ、もともとの戦術も以前のように「10」の水準でできるようにしたいと、大木監督は考えている。
「真ん中にあるのは好きじゃない。ゼロは何をしてもゼロ。無風状態だよね。ヨットは風がなくなったら終わり。逆風でも前に進むんだよ。いまは逆風かな(笑)」

10連敗のあとの低迷があってもチームはあかるさを失っておらず、大木監督には自嘲する余裕があった。
松本山雅FCの十八番である、ロングスローなどのセットプレー対策も含めた準備がどう奏功するか。残留争いの土俵際で、岐阜が粘り腰を見せようとしている。

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