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デル・ピエロを長良川に招いたのはFC岐阜マスコット、ギッフィーだった!その行動力の秘訣をギッフィーへ直撃インタビュー

ギッフィーのスローガンは『全部やる』ですが、本当にたくさんのことをしてくれました。

いまだ連敗を脱出できないでいるFC岐阜。苦しい状況がつづくが、いよいよアレッサンドロ・デル・ピエロさんがホーム長良川競技場に来場する次節には、風向きが変わるかもしれない。

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イタリアが誇る至宝の来岐を実現したのはほかでもない、ギッフィーの働きだった。
これで大丈夫なのかと不安視されながらの船出だった一年前を思えば、ギッフィーがこうした大役を成し遂げるまで成長するとはにわかには信じがたいが、しかし紛れもない事実である。生誕祭にデル・ピエロさんからお祝いのメッセージが届くほど、ギッフィーは距離を縮めている。

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大型補強とラモス瑠偉元監督の就任で最初のブームを巻き起こした2014年に、1シーズン平均7,584人に達していた岐阜の観客動員数は、2016年には5,662人にまで落ち込んでいた。ところが、2017年は6,977人と約1,300人増。今シーズンもホームゲームをあと5試合残した段階で6,577人と、盛況がつづいている。昨年に起きた変化は、大木武監督が就任、またクラブの”顔”とも言うべき公式マスコットのギッフィーが誕生し、広い範囲で娯楽色豊かに活動を始めたことだ。双方とも、観客がスタジアムに足を運びたくなる雰囲気を醸成し、人々に影響を与える要因となっている。

お披露目となった2017年10月1日の名岐ダービーでは、ギッフィーはスケートボードに乗って颯爽と登場、グランパスくんとのPK対決を制し、運動神経の鋭さで観衆の度肝を抜いた。ダンスが達者なマスコットでもあり、以後、ホームゲームの度に小気味よく踊る姿を見せている。

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スタジアムの外でもギッフィーは活動的だ。ボウリングに出かけたプライベート? まで報告するくらいで、

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Twitterの公式アカウントを追っているだけでもキリがないが、極めつけは岐阜北警察署特別広報監への就任だろう。

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実はホームゲームでの稼働以外に、ギッフィーは週に1回から2回の頻度で地域活動に励んでいる。ことし4月から8月にかけての出動回数は約30回! 地域のイベント、スポンサーイベントがある度、現場に駆けつけ、まさにクラブを代表する広報親善大使となっているのである。

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この活躍に、クラブのスタッフも目を細めている。
「献身的な活動にファン・サポーターにも喜んでいただき、子どもたちからも『ギッフィー!』と声をかけられている姿を見ると本当に多くの岐阜県民に愛されていると感じます。
もちろんスタッフもギッフィーから元気をもらっていますし、ぬいぐるみギッフィーは2体以上持っているスタッフも多いですね(笑)。
実はあまり知られていないですが、ギッフィーは選手入場の際、一緒にピッチに入るのですがお辞儀をしてから入ります。
ギッフィーのそういった姿勢を近くで見ていると応援したくなりますね」(FC岐阜の渡邊亮広報担当)
独自のユニフォームスポンサーがつくのも無理はない働きぶりなのだ。

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そして冒頭に述べたように、今般のデル・ピエロさん来岐にもギッフィーは貢献している。
垂井町にある「キャプテン翼スタジアム垂井」を周知するために、袖に『キャプテン翼』の大空翼ロゴがついているFC岐阜のユニフォームを、ギッフィーからデル・ピエロさんに贈った。するとデル・ピエロさんがこれに反応してユニフォームを贈られた旨を『日本からの贈り物』という題でブログに上げ、このとき「近いうちに逢えることを祈っている」という意味のメッセージを添えたのだ。その後、岐阜からクラブとして正式にお招きの連絡を入れた――という次第だった。

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「今シーズン、ギッフィーのスローガンは『全部やる』ですが、本当にたくさんのことをしてくれました。
その中でも今回デル・ピエロさんに、岐阜に来ていただくことになったのは、紛れもなくギッフィーがユニフォームを贈ったからです。
あのデル・ピエロさんにそんな図々しくプレゼントができるのもギッフィーの魅力ですし、高橋陽一先生には『キャプテン翼に出たい』とお願いするのではないかと冷や冷やしつつ期待したり(笑)。とにかく今年のギッフィーは大活躍ですが、本花(※ギッフィーは花のレンゲをイメージしたマスコットであることから、クラブでは本人ではなく本花と表現する)に聞くとまだまだやりたいことがいっぱいあるそうなので今後にも注目ですね!」(前述の渡邊広報)

せっかくなのでご本花にもデル・ピエロさんの件について、訊ねてみることにした。なお、この問答はFC岐阜を正式に通していて、ギッフィーの言葉は書き手の妄想ではないことをあらかじめ記しておく。

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――思い起こせば一年前、名岐ダービーでのお披露目までは「気色悪い」などとさんざんな言われようでしたけど、スタンバイしてるあいだはどう思ってたんですか?
ギッフィー:え~!!そんなひどい事言われとったの~?知らへんかった。。。
あの時は待機場所で、みんなに会えるワクワクとドキドキでいっぱいやったし、その時の感情はずっと忘れへんと思うな~。

――その名岐ダービーではスケボーで登場。みなの度肝を抜きました。
ギッフィー:名岐ダービーって事で沢山のお客さん来とったし、SKE48メンバーも駆けつけてくれとったもんで、カッコいいとこ見せれたらモテるかなって、ちょっと狙ってまったんやよ~。

――東京ドロンパやゼルビーとは、Jリーグマスコット総選挙2018トップ3の発表があった「FUJI XEROX SUPER CUP 2018」でいっしょになりましたよね。
ギッフィー:えへへー。

――なんでしょう、その苦笑いは。
ギッフィー:僕はキャリア数ヶ月の新人マスコットやし、憧れの先輩マスコットを前にやっぱり最初は緊張しとったんやけど、先輩マスコットのみんなが僕に優しく接してくれたもんで、徐々に自分のカラーを出す事できたんやよね~。
それに、みんなの立ち振る舞いや、お客さんへの接し方は、でれー勉強になったんやよね!

――経験の差ですか。
ギッフィー:そうそう!やっぱりFUJI XEROX SUPER CUP 2018で、あらためて新人の僕はもっと頑張らないかんなって思ったんやよ!

――あれから毎回踊ってますもんね。
ギッフィー:音楽もダンスも好きやもんで、とにかく楽しんで踊っとるんやよ~。
選曲はけっこう悩むところなんやけど、スタッフさんともよく相談するし、ファンの方からのご意見や、Twitterでのメッセージも参考にさせてもらっとるんやよ!

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――世間で流行りのものだけでなく、シネマスタッフ(FC岐阜オフィシャルサポートソング)、G2 feat DUB4REASON MEGAHORN 裂固 MAR 久世良輔(FC岐阜オフィシャルパワーソング)、SKE48、祭nine.、岐阜出身のアーティストと、縁のあるところから攻めてますよね。町音葉さん(FC岐阜アンバサダー)擁するSKE48との共演はどうでしたか。
ギッフィー:えへへー、SKE48さんとのLIVE、今思い返しても最高やった~!
実は、一緒にLIVEするなんて決まってなくて、メンバーも知らんかったんやよね~。あの時、SKE48のみんながめっちゃキラキラしてたし、ファンの皆の声援もすごくって、そこで大好きな曲が流れたもんで僕もついつい身体が動いてまって、いつのまにかLIVEにまざってまったんやよね~。
メンバーの皆をびっくりさせてまったけど、良き思い出やよね!

――なるほど(笑)。さて、イベントや地域活動以外でもがんばっているというお話ですが、この度アレッサンドロ・デル・ピエロさんを招いて大きな話題になっていますね。
ギッフィー:そうそう!めっちゃすごいやんねー!!
最初は2018シーズンのFC岐阜のユニフォームに、スポンサーの野田クレーンさんが運営するキャプテン翼スタジアム垂井のロゴがはいったんやけど、キャプテン翼好きのデル・ピエロさんに喜んでもらえたらいいな~って思って、ネーム入りでユニフォームとお手紙を贈ったんやよね~。そしたら、すぐにブログやSNSで反応してくれて、めっちゃ感動してまったんやけど、そこから更に9/23の東京V戦に長良川競技場へ遊びに来てくれる事になって、急いでスタッフさんとデルピエロさんのお迎えの準備を始めたんやよ!

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――イタリアのクラブに所属した経験もある『キャプテン翼』の葵新伍選手がFC岐阜にドリームプレーヤーとして加入したり、10月来岐予定の高橋陽一先生まで巻き込んで、秋の一大イベントになってしまいました。

ギッフィー:そうそう。本当にびっくり!デルピエロさんはユヴェントスで葵君がインテルやもんで、イタリアダービーが岐阜で見れるみたいなもんやよね~!
一生に一度、いや一花に一度の対戦を日本全国のサッカーファンに見てほしいんやて!
デル・ピエロさんとのフリーキック対決は絶対に勝っチャオー。

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――きれいに締めていただき、ありがとうございました。
ギッフィー:こちらこそ、ありがとうやて!

――それにしても、デル・ピエロも葵新伍も呼び寄せてしまうという……岐阜から世界へなのか、イタリアから岐阜へなのかわからなくなってきました。岐阜は不思議なクラブですね。
ギッフィー:いろいろあるけど、それがFC岐阜のいいとこやよね~!

――ギッフィーさんもですね。
ギッフィー:えへへー。
これからも岐阜のために僕がやれる事は全力でやるし、いつかみんなでJ1昇格を一緒に喜びたーい!

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 試合前のギッフィータイムでダンスをする度、DOBERMAN INFINITYのKAZUKI、DA PUMP、AAAのSKY-HIといった著名アーティストから反応をもらうようになったギッフィーは、もはや一年前のギッフィーではない。
 打算ではなく、まず動くことをモットーに駆け抜けてきたギッフィーの熱さに煽られるように、クラブのスタッフも気合を入れているようだ。
「残りホームゲーム5試合は第一弾、デル・ピエロさん来場、第二弾、高橋陽一先生来場など、ホーム最終戦まで全力でスタジアムを盛り上げます。岐阜サポーターはもちろん青春時代デル・ピエロさんに魅了された方、そしてキャプテン翼を見てサッカーを始めた方など全国にいらっしゃると思います。
9月23日は日曜祝日、3連休の中日となりますので、岐阜への観光ついでに、この機会に一度、岐阜の全力を見ていただきたいです」(渡邊広報)
 ピッチ外の熱量が、苦しむチームへの特効薬たりうるか? 岐阜のファン、サポーターならずとも眼が離せない一日となりそうだ。

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