嬬恋キャンプ終了。大宮アルディージャ、残留争いの勝算

昨季5位の躍進から今季低迷に陥った大宮アルディージャは、渋谷体制から伊藤体制に移行し、次第にチーム状態は復調しつつある。そんな大宮はJ1の中断期間に短期キャンプを実施。3名の新外国籍選手が加入し、戦力を増強するなど、後半戦の巻き返しへ余念がない。後半戦の目標である残留争いを勝ち抜くための勝算を、大宮の番記者・片村光博氏が紐解く。

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▼嬬恋キャンプの充実感


 リーグ戦の中断期間を降格圏となる16位で迎えることになった大宮アルディージャ。伊藤彰監督就任後のリーグ戦は2勝2分1敗と残留に向けて持ち直しつつある中、16日から20日にかけて群馬・嬬恋キャンプを実施した。勢いだけではない強さを身に着けるため、普段とは違う環境でチーム全体の底上げを図っている。

 キャンプ前最後の公式戦となった天皇杯3回戦・愛媛FC戦でゴールマウスを守り、キャンプでも大きな声でチームを鼓舞している加藤順大は次のように話した。

「キャンプに来た意味は、僕自身も毎日の練習で実感しています。チームの状況が状況ですから、甘えたことも言っていられませんし、非常に集中した良い練習を、激しく厳しくできている。そのぶん、ホテルに戻ったら非常においしい食事もあるので、メリハリという意味ではオンとオフがしっかりできていると思います」

 慣れた環境の大宮ではなく、短い期間でもキャンプとして過ごすことの意味はしっかりと出たようだ。


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▼3名の新外国籍選手もキャンプに参加

 より具体的に強化を図ったポイントとしては、まず守備の部分が挙げられる。伊藤監督は就任から一貫して攻撃面の積み上げに取り組んできており、その姿勢自体にブレはないが、2試合未勝利に終わったリーグ戦中断前の内容を見れば、改善が必要であることも事実。攻撃的に戦う中での守備という観点から、少しずつ構築を進めている。

 それはつまり、「守備の構築=セットした状態の整備」ではないということ。天皇杯の愛媛戦ではディフェンスラインと中盤および前線が分断され、間のスペースを使われることで苦戦を強いられたが、指揮官は「ウチは攻撃的なチームでゲームをコントロールしたい、流れを持ちたいというところで、まずは前線からのプレッシャーを掛ける」と前提を示す。「そこに距離感が空いたりするのは、どこのチームでもあることなので、少しは目を瞑ってやらないと、行けなくなったら自分たちのスタイルがなくなってしまう」という考えの下、アグレッシブさの維持を念頭に置き、調整を進めてきた。

 ただ、前線からの守備は相手のシステムや流れによって変化する部分も大きく、一概に「これをやっておけば大丈夫」という完全な解があるわけではない。その難しさは承知の上で、チームのスタイルを貫きながら勝率を上げるためのチャレンジを続けている。

「90分をやっている中で『これは行ってもらいたい』というときと、『これは行ってもらいたくない』というシーンが必ず出てくる。サッカーは絶対にそういうものなので、良い流れのときは行けるし、悪い流れのときは行けない。そこは選手がどれくらい流れを判断してできるかというのが大事だと思います」(伊藤監督)

 これまでの試合ではベンチからの指示によって形成を逆転するようなシーンも目立ったが、それは主に攻撃時の変化に関するものだった。刻々と変化する相手や状況に対応してアグレッシブかつ堅実に守るためには、ピッチ上での正確な判断が不可欠。嬬恋キャンプで多く実施している紅白戦や、週末に控える二つの練習試合などを通して、どれだけチーム内での意思統一が図れているかは、今後の成績を少なからず左右する要素になるだろう。

 また、今回のキャンプには新加入の3選手、マルセロ・トスカーノ、カウエ・セシリオ、そしてキム・ドンスも参加。言うまでもなく、彼らが早期にフィットすればチーム力に直結する。中でもひと足早く加入が発表され、韓国でプレーしてたこともあってコンディション面で問題のないマルセロは複数ポジションでテストされた。向上中の攻撃にさらなる上積みをもたらす存在として期待される。

「中盤の前目だったらどこでもできると思いますし、やれる自信もあります。当然、監督が選ぶメンバーに入ればどこでもやる準備はできています。それぞれの役割はあるんですが、一つひとつ理解して、自分に一番合ったポジションをきっと選んでくれると思います。まずピッチに立つために、一生懸命練習してアピールしなければいけないと思います」(マルセロ)

 守備ではチーム全体での意思統一を向上させることが第一ならば、攻撃ではチームとしての連動も上げつつ、新戦力が目に見えるプラスαをもたらせるかどうかがカギを握る。攻守がかみ合って相乗効果を生むことができれば、残留への道は大きく開けてくるはずだ。


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