[J論] - これを読めばJが見える

論 時事蹴論時事ネタ一発蹴り

kawabatashimizuoosimanakanokawajitsuchiyanaitowatanabegotosimozonogelandohiranotakisuzukijunkamiyasatomadokakatamura55nakakuraitagakinonakagunzifujiijronmatsumototakenakaishiisatoisao

佐藤功

2016 12/27  07:51

悲しさと喜びの先に、うれしい悔しさがあった1年【2016Jリーグアウォーズ】

12月20日、横浜アリーナで2016Jリーグアウォーズが開催された。会場は鹿島アントラーズのJリーグ制覇とともに、2日前に達成したクラブW杯準優勝も祝う。鹿島の健闘を全チームが強く意識するなど、Jの先に思いを馳せた。


GNJ_21352.jpg
(C)Satoshi Gunji

▼サッカーに触れる喜びを噛みしめる横浜アリーナ
横浜アリーナに『THE GLORY』が鳴り響く。生演奏のJリーグアンセムに合わせ、タキシードを着た選手たちが入場した。会場は赤や青、さまざまな色が並ぶ。敵、味方は存在しない。"Jリーグのサポーター"が歓声を上げる。最後に役者が違うオーラを発していた中澤佑二選手が席に着き、2016Jリーグアウォーズが始まった。

ロアッソ(熊本)がいる熊本を襲った大地震、南米で起きた飛行機墜落事故。2016年は悲しい出来事があった。「サッカーに触れる喜びをあらためて噛みしめる」と村井(満)チェアマンが、今年を振り返りながら挨拶をする。場内では、シャペコエンセへのメッセージが受け付けられていた。そして、2日前の「記憶を刻印した記念すべき日」の出来事に触れる。チェアマンは式典の開会を宣言し、同じ横浜の地で戦った主役たちに壇上を譲った。

▼悔しがる王者、悔しがるライバルたち
司会の勝村政信さんは興奮気味にレアル・マドリー(スペイン)との一戦について尋ね、小笠原満男選手は「負けて悔しい」と冷静に答える。そして、Jリーグ年間勝ち点1位ではなかったことにも触れた。J制覇の証である大きなシャーレを持ちながら悔しがるチャンピオンがいる。勝ちにこだわる彼は、1年後、またこの壇上に戻ってくると宣言した。

鹿島アントラーズの健闘を称える会場では、アリーナの選手たちは複雑な心境で彼らを見ていた。

「カズ(三浦知良)さんがバルーンから出てきた舞台」とジョークを交え、「洗濯や掃除をしてくれるおばちゃん」にも感謝を述べ笑顔だったMVPの中村憲剛選手は式典後、戦う男の表情に一変する。クラブW杯決勝を、悔しさとうらやましさ、誇らしさとともに見ていたと正直に語る。あと一歩まで欧州王者を苦しめた姿に、「あそこで負けた悔しさは鹿島にしか味わえない」ことを感じていた。表彰されるチャンピオンシップ覇者の鹿島、ルヴァンカップ王者・浦和の姿に、来年は自分たちがと意欲を燃やす。彼もまた負けた悔しさを力に変える権利を手にし、国内タイトルとACL、その先にある世界へと目を向けていた。

同じくベストイレブンに選出された槙野智章選手は、「鹿島に勝てば」という悔しさと、「鹿島は大会を通じてレベルアップをしていった」うらやましさを感じながらも、最後には鹿島を応援していたという。そして日本代表ハリルホジッチ監督から求められている、ファウルをしないでボールを奪う、前に出る守備を見せた昌子源選手を称賛する。こちらも、浦和レッズとして日本代表として世界へと目を向けていた。

世界を驚かせた当事者の一人である昌子選手は、槙野選手のお褒めの言葉に照れながら「感無量です」と答えた。そしてクリスティアーノ・ロナウドと対峙したレアル・マドリーに、「リベンジがしたい」と負けて知った感想を述べる。そのためにはアジア王者になるしかない。鹿島に欠けているタイトルに向け決意を表明していた。壇上でキャプテンが語った「どんな相手にも勝ちに行く。あの舞台で勝つことを目指す」という想いを受け継いでいた。

▼新たな目標が設定された日
「Jリーグの強さを見せつけた」。鹿島を率いる石井正忠監督が力強くスピーチをした。最優秀監督賞を受賞した指揮官はライバルに向けて、「クラブW杯の場に立ちたい、自分たちがレアル・マドリーに勝つ」と思った人がいることを願う。その思いをJでぶつけ合い、全クラブで日本のさらなる向上を促す。村井チェアマンは冒頭の挨拶にあった「新たな目標」が設定された。

2016年の功績を称える場は、2017年の世界へ挑む決意表明の色が濃い。チャンピオンシップで涙した浦和の悔しさ、MVPを輩出するもタイトルを手にできなかった川崎Fの悔しさ、世界一にあと一歩だった鹿島の悔しさ。2ステージ制で運命が変わった2016年は、全チームにポジティブな悔しさを与えていた。

次の戦いはすぐにやってくる。天皇杯へ向かう選手たちが場内を一周しながらサポーターに手を振り、2016Jリーグアウォーズは幕を下ろした。そのとき、横浜アリーナには懐かしいギターサウンドが流れていた。

佐藤功

岡山県出身。大学卒業後、英国に1年留学。帰国後、古着屋勤務、専門学校を経てライター兼編集に転身。各種異なる業界の媒体を経てサッカー界に辿り着き、現在に至る。

佐藤功  その他のコラム

投票

納得(0票)

異論(0票)

論 アクセス ランキング

  1. 奇妙な試合に消えた浦和レッズ。その敗北が偶然の産物とは思えない 5580PV
  2. J1【浦和vs松本】松本山雅FC 試合後の選手コメント『体を張るということを90分通してやらないといけない』(田中隼磨)+前田・飯田 5343PV
  3. ハリルホジッチと右翼のフットボール 5280PV

論 最新ニュース