[J論] - これを読めばJが見える

論 時事蹴論時事ネタ一発蹴り

kawabatashimizuoosimanakanokawajitsuchiyanaitowatanabegotosimozonogelandohiranotakisuzukijunkamiyasatomadokakatamura55nakakuraitagakinonakagunzifujiijronmatsumototakenakaishii

審判批評家・石井紘人

2016 06/29  08:04

【石井紘人の審判批評】福西が「いいんじゃないでしょうか」と評したレフェリングとは?




▼興奮した選手に村上主審がとったマネジメント

最終節までもつれこんだファーストステージの優勝争い。勝ち点差で1ポイント上回る首位の鹿島アントラーズは、「勝利=優勝」という構図でアビスパ福岡戦に臨み、2-0で勝利し、ファーストステージを制した。

試合後は歓喜に沸いたスタジアムだが、試合中には審判団にブーイングが送られていた。だが一方で、解説を務めた福西崇史が「いいんじゃないですか」と評したレフェリングもあった。

それは38分のシーンだ。アビスパ福岡のウェリントンの腕が、鹿島アントラーズの杉本太郎の顔面付近に当たってしまう。最初の腕は体を入れにいったウェリントンと体を密着させた杉本という構図から生まれたアクシデンタル的なものとも見ることができるが、二度目の腕は押しにいっていた。この行為にエキサイトした小笠原満男がウェリントンに詰め寄ると、ウェリントンも押し返し、スタジアムは騒然となる。そして、鹿島アントラーズの選手たちが、ファウルアピールするために村上伸次主審を囲む格好になるが、村上主審は「確認します。だから、まず離れて」と"囲み"の状況が生まれないようにする。選手たちを一旦離したうえで、副審に確認を行った。

福西崇史氏は「ある程度、時間をおけば、選手も冷静になれる。そういう所をレフェリーの方も冷静に判断して欲しい」と解説したが、まさにそのようなマネジメントである。

▼なぜプレミアリーグの審判団が評価されるのか
そして、副審と確認し、懲戒罰まではいかないとジャッジすると、エキサイトした小笠原と、当事者のウェリントンを呼ぶ。小笠原はウェリントンに「これ(肘打ち)はダメだよ」と言うと、ウェリントンは"わざとじゃないし、肘打ちではない"と弁明する。二人に冷静な対話をさせた後で村上主審は"私が見ている"とレフェリー側のコミュニケーションをとる。

「いいんじゃないですかね。これで冷静になって、(レフェリーも)見ているよってことも伝えられるし、選手たちもレフェリーが見ていることが分かる」(福西氏)

拍手が起きても良いシーンだったが、サポーターからはブーイングが起きてしまった。一度スタジアムに不信感が渦巻くと、それを拭うのは難しい。それでも前半が終わると、ドレッシングルームに戻る間に、ウェリントンが小笠原にプレーの解説をしていた。"腕は体を入れた時に当たっただけなんだ"とジェスチャーすると、小笠原もエキサイトすることなく、受け入れてコミュニケーションをとっていた。

この試合はFootBall Referee Journalで審判批評したが、微妙な判定もあった。ただ、得点や退場に関わるあきらかなミスジャッジはなく、"ミスにも見えるシーンがあったが、試合結果に影響はなかった"のであれば、審判団には及第点が与えられると思う。プレミアリーグの審判団が評価されるのは、ファウルの判断以上に、コミュニケーション能力が高く、結果として「選手が気持ちよく、プレーに集中できている」、つまり大枠はおさえられているからだと思う。福西氏が評価したのは、このシーンもそうだったからではないだろうか。


石井紘人 Hayato Ishii

ベストセラーとなった『足指をまげるだけで腰痛は治る!』(ぴあ)に続き、サッカーに特化し、『SOCCER KOZO』(ガイドワークス)編集部と作った『足ゆび力 つま先を使うだけで一生健康でいられる』が絶賛発売中。また、審判批評に特化したFootBall Referee Journalも運営。ご意見やご感想はツイッター:@FBRJ_JPまで。

審判批評家・石井紘人  その他のコラム

投票

納得(0票)

異論(0票)

論 アクセス ランキング

論 最新ニュース