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竹中玲央奈

2016 01/17  23:45

"湘南サポ"が湘南に加入? "平塚の男"下田北斗が帰還した意味

今季のストーブリーグで湘南は「主役」だった。J1のステージで確かな戦果を残したチームから、遠藤航、永木亮太、秋元陽太ら「大物」が流出するニュースが相次いだのだ。ただ、そんな流れの中で、一人の男が湘南の地へと「帰ってきていた」。甲府から来たMF下田北斗は、平塚出身。そして、かつて"あの試合"を体感していた男でもある。

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▼"あの"甲府戦
 どのクラブにとっても、サポーターの脳裏に刻まれ消えることのない"ベストゲーム"が存在することは間違いない。"どの試合を選ぶか"という点で議論も生まれると思うが、湘南ベルマーレのサポーターに"史上最高の試合"を聞いたら、誰もが2009年11月21日の、"あの"甲府戦を挙げるのではないだろうか。

 最終的に仙台、C大阪、湘南がJ1昇格を決めたこのシーズン、自動昇格圏の最低ラインである3位を争っていたのは甲府と湘南の2チームであった。その両チームが相まみえたのは第49節、舞台は甲府のホーム、小瀬。勝ち点は『91』で並んでいた。直接的に勝敗が昇格の是非に直結するわけではなかったが、リーグ終盤に訪れたライバルとの直接対決が大きな意味を持つことは論を待たなかった。

 そんなゲームは、後半アディショナルタイムに坂本紘司が劇的にネットを揺らしたことで、湘南に軍配が上がった。最終節の水戸戦にも逆転勝利を収めた湘南はベルマーレ平塚から名前を変更して以降、初のJ1昇格を達成したのである。

 その試合を、当時高校生であった下田北斗は現地で観戦していた。

「親の知り合いで山梨に住んでいる方がいて、その方がヴァンフォーレのサポーターだったんです。で、その人と小学校のクラブのチームメイトと見に行きました。(観戦していたのは)バックスタンドだったかな。坂本紘司さんが決めて......。すごく嬉しかったですね」

▼ベルマーレのある日常を過ごして
 今シーズンより2年間在籍していた甲府から湘南に完全移籍で加入した下田は、平塚出身の選手だ。そして、上記の言葉からもわかるように、正真正銘、生粋のベルマーレサポーターである。当時、大清水高校(現・藤沢清流高校)の生徒だった下田はチームメイトと練習後に平塚競技場に足を運び、ベルマーレの試合を観戦していた。ちなみに彼の出身である崇善小学校と江陽中学校は、平塚駅西口を出てスタジアムへ向かう途中にある。現地観戦を経験したことがある者ならば誰もが「あそこか!」と思うのではないだろうか。

「高校時代、よく行ってましたよ。あのときはジャーン、アジエル、臼井幸平、坂本紘司とかが中心でしたよね」

 大学時代に彼とベルマーレの話になった際、笑顔でこう語ってくれた彼がものすごく印象的だ。「ベルマーレのことは、好きですからね」。ハッキリと、口にしていた。そんな彼が"地元出身選手"という看板を背負って加入したことはクラブにとっても非常に明るいニュースである。だが、本人は「地元だから選んだというわけではない」と断言し、こう続けた。

「湘南スタイルというしっかりとした攻撃的、アグレッシブなサッカーをしてみたいということを自分自身で思っていたし、そういうところにチャレンジして成長したいと思っていた。それが地元なので、より嬉しい気持ちはありますね」

 下田が大きく成長を遂げた場所である専修大学は「有料試合という責任を持って、攻撃的で美しいサッカーを志向する」というコンセプトの元、華麗なパスワークを軸にしたアグレッシブなサッカーを展開していた。その中心で彼は過ごしてきたため、「大学からに甲府に入ったときは戸惑った」と守備的なチームに身をおくことに苦労したとも言う。だが、2年目になって出場機会を多く掴んだことで、チームに自らをアジャストさせる自信を持った。甲府の地で培った適応力を糧に、そして自身が求めている"攻撃的なサッカー"をするために、湘南を第2のプロ生活の舞台に選んだのだ。

▼平塚の男
 猪狩佑樹(現・クラブスタッフ)、馬場賢治(讃岐)らがこれまで"平塚出身の選手"としてサポーターから愛され、期待を背負ってきたが、今季のチームに"平塚の男"は下田しかいない。加えて、チームの主将であり中心選手として活躍したボランチの永木がチームを去った。

「すごいフィジカルの強さや速さはないが、常に動いて相手の嫌なところに飛び出したり、左足のキックで遠くを見れてボールを出せる。湘南スタイルの中でもまたちょっと違った、合わせながらもそういうプレーをできる」

 小原強化部長がこう語れば、曺貴裁監督も「よく動くしいいシュートも持っていて、FKも蹴れる」と話す。

 取り巻く状況や首脳陣のこの評価などを考えれば、プレッシャーも生まれるだろう。ただ、裏を返せば活躍の舞台は整っているということ。下田が地元からスタートさせる第2のプロ人生を、期待と共に追い掛けて行きたい。

竹中玲央奈

1989年生まれのロンドン世代、シンガポール出身。成蹊大学文学部国際文化学科卒業。学生時代、筑波大学蹴球部に魅せられ取材活動を開始。進路を模索している中、東邦出版の中林編集長とJ論の川端編集長に出会ったことでサッカー界への道を開く。『エル・ゴラッソ』では2012年、13年は湘南を、14年以降は川崎Fの担当。昨年末まで在籍した『CSPark』では副編集長として男女大学サッカーを定点観測をしていた。ライター以外にもwebマーケターの側面も持っているとか。永遠のアイドルはビエリと巻誠一郎。

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けいちゃん(IP:106.177.191.39)

北斗選手!おかえりなさい!応援してます!!

2016年3月29日 21:41

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