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【Jリーグ】地域貢献について「一つのクラブがやったことを、もう少し良く聞いてブラッシュアップして全体のクラブへ還元していく(Jリーグ・村井チェアマン)」

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地域貢献について「一つのクラブがやったことを、もう少し良く聞いてブラッシュアップして全体のクラブへ還元していく(Jリーグ・村井チェアマン)」~PUBレポート2017WINTERメディアブリーフィング(6)~『Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~』

2017年12月21日、JリーグはJFAハウスにて、J.LEAGUE PUB Report 2017 winter 発行に関するメディアブリーフィングを開催した。
今回のブリーフィングでは、フットボール面については原博実副理事長が、ビジネス面については村井満チェアマンからそれぞれ説明を行った。

PUBレポート2017WINTERはこちら

(5)はこちら

○村井満チェアマン

実はフットボール以外で、地域とのかかわりをずいぶん試行錯誤した年でもありました。Jリーグの54クラブが懸命に地域での活動を行っています。クラブや選手が学校を回ったり病院や施設を回ったり、年間1万7千回行っていました。リーグからするとクラブから活動報告を受けるということで、ややクラブ任せでした。

よくよく分類して見ると、健康医療の分野、教育の分野、それから街のにぎわいやスポーツツーリズムといった産業振興の分野、あるいは様々な国と交流する国際交流の分野、スタジアムを中心とした街づくりの分野、だいだいどこを見ても、ホームタウンでも共通した地域社会の課題をクラブがやっていることがわかってきました。こうした1万7千回の活動について、著名なNPO団体の方に集まっていただいたクラブの方とディスカッションしました。そして、結構これはすごくいい活動なので、リーグとして集めてブラッシュアップして、いろいろなモデルをチューンナップして全クラブでやるように還元してはどうかという意見をいただきました。

その中でいくつか共有されたものをご紹介します。川崎フロンターレの就労体験を紹介させていただきます。ホームの主催試合全てで、ホームレスの方や障害者の方、引きこもりの方を集めて、健常者の方と一緒にスタジアムの清掃をやったり分別回収をやったりしています。すごいなと思ったのは、一年を通じて延べ182名がその活動をやったんですが、そのうち11~12%の方が正規の就労に就かれたことがあります。
こういった方々が週5日の通常勤務はハードルが高いんですけど、ケアセンターの方やソーシャルセンターの方々と一緒になって、そういった活動をして大勢の人の前で拍手をしてもらう体験があって、少しずつ社会との距離を縮めていくようなケースがありました。
こちらの映像はNHKで放映されたものです。

―映像が流される。-

川崎フロンターレホームゲームにてゲームスタッフとして障害者就労体験(川崎市)
http://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000062776.html

クラブも本当に助かっているということと、こういった方々が社会に出ていくということがWin-Winのような形になっています。優勝した川崎フロンターレの裏側でこういった方々が支えてくれていたということがありました。逆に言うと、この活動は全クラブがやれる可能性を持っていて、このモデルを例えばチューンナップしていければと思っています。

またFC東京の分身ロボット「OriHime」のプロジェクトはメディアの皆さんにすでに取材されているかもしれません。

朝日新聞(2018年10月5日)
(東京の底力)ロボット介して病室で観戦
https://www.asahi.com/articles/ASK9X7J4HK9XUTIL086.html

OriHimeのプロジェクトは改めて申し上げると、生まれてから循環器系の障害を持って外に出ることのできない3人兄弟の真ん中の子が、自分の分身となる「OriHime」というロボットをお兄ちゃんたちがスタジアムへ持って行って、病院からスマホで操作することができます。顔を回したり手で拍手したり、音が聞こえますし、自分の見たいところを目からスタジアムの様子見えるので、このOrihimeを持って行った時に取材していただいたものが動画となりましたので、見ていただきます。

―「OriHime」プロジェフとの様子が映像で流される―

お年寄りの方とかスタジアムへどんどん来ていただける可能性を秘めています。一つのクラブがやったことを、もう少し良く聞いてブラッシュアップして全体のクラブへ還元していく循環モデルを29ページの図にしています。


PUBレポート29ページの図をキャプチャーしたものです。

クラブがやっていることを左の方にやって、ソーシャルセンターやNPO団体とディスカッションしながら、型にしたり、ファンディングなどで小口でもそうした支援が集まってきたり、ファン・サポーターの皆さんからの支援をいただいたり、お金が出ていく一方のコストセンターになってしまうといいことでも続かないので、こういったことを循環させていく第一歩が踏み出せた2017年でしたが、来年はもう少しビジョナリーの方へ進んでいければと思っています。

(7)へ続く

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