『あの日があったから、いまがある』日本クラブユース選手権(U-18)グループステージ・松本山雅FCU-18戦【町田】

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【★無料公開】【コラム】第41回日本クラブユース選手権(U-18)グループステージ・松本山雅FCU-18戦/あの日があったから、いまがある町田日和
2017年07月27日更新

■第41回 日本クラブユース選手権(U-18)大会
グループステージ Gグループ第3戦 14:05キックオフ
前橋総合運動公園陸上競技・サッカー場/200人
松本山雅FC 3-0 FC町田ゼルビアユース (40分ハーフ)
【得点者】町田/12分 鈴木舜平、34分 馬場渓(PK)、57分 鈴木直人

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▼悔恨の記憶の書き換え

3-0で迎えた後半のアディショナルタイム表示は3分。他会場ではグループステージ突破を争う京都サンガF.C.U-18が0-2とリードを許していた。指揮官・竹中穰監督は、そこで初めて選手たちに京都U-18の情報を伝えた。3分のアディショナルタイムが経過し、主審の試合終了のホイッスルが鳴り響くと、FC町田ゼルビアユースの選手たちは控えめに喜びを表現した。2年前、クラブ史上初の全国大会出場となった日本クラブユース選手権(U-18)では1勝2敗でグループステージ敗退を喫していたクラブが、新たな歴史を切り開いた瞬間だった。

「2年前は先輩たちに連れてきてもらいましたが、今回は僕たちの代が引っ張ってきました。先輩たちを超えるチャンスがあります」

2年前の悔しさを知る須藤友介は、"先輩越え"を目指してこの日のピッチに立った。

「2年前の悔しさを晴らせて良かったです」

2年前のグループステージ最終戦・横浜FC戦で最終ラインの選手として出場していた舟橋碧人もリベンジを果たした。

振り返れば、2年前は、指揮官・竹中穰監督にとっても、初めてとなる全国の舞台だった。

「群馬の暑さへの対処など、コーチングスタッフとしての経験値のなさが否めなかった大会でした。ただ2年前の大会を経て、多くの引き出しを持ってこの大会に臨めたことは良かったと思っています。3年生の中には前回大会を経験している選手もいます。彼らがいたことで前向きな結果が必然的に導き出されたのかなと思っています」

例えば2年前、1年生だった須藤は最上級生になった。FW鈴木直人ともに副将に指名された背番号5は、前回大会の経験値を生かすかのような振る舞いが目立っていたと主将の谷口幸太は言う。

「特に須藤はこの大会でどういう調整をして、どういう試合運びをすれば良いのか。一度出ているだけに理解している部分があります。下級生で初めての全国大会出場ともなれば緊張感が全然違うでしょう。彼らがリラックスして試合に臨めるように、須藤らが食堂でフレンドリーな環境を作ってくれていることを僕は見てきました。そのことにすごく感謝しています」

全国を知るだけにその経験を生かそうとした須藤だが、実はグループステージの期間中、なかなかコンディションが上がってこなかったことを竹中監督は明かした。それでも、全国を知る先輩として、そんな素ぶりを見せるわけにはいかなかった。

「どれほどアイツの背中を見ている後輩がいるのか分かりませんが、ずっと3年間試合に出続けている中で、努力をし続けている姿を下級生の選手たちは見てきたはずです。本来であればもっと輝いてほしい選手ですが、コンディションのことを受け止めながら必死に戦ってくれました。これも彼の成長につながるんじゃないでしょうか」(竹中監督)

2年前の全国初舞台で対峙した名古屋グランパスU18に「翻弄された」と当時を振り返る須藤。しかし、2年の時を経て、この日グループステージ突破を決めたことにより、名古屋U18戦とこの日の松本山雅U-18戦を戦ったピッチ(前橋総合運動公園陸上競技・サッカー場)は、悔恨の舞台から歓喜のステージへと記憶が書き換えられた。

「名古屋と対戦したこのピッチでグループステージ突破を決められたことがうれしいです」

そう言って須藤は笑顔を見せた。

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▼迅速なマネジメント

選手たちが2年前の教訓を生かした一方で、指揮官を筆頭としたコーチングスタッフもまた、2年前の反省をチーム作りにしっかりと反映した。この日の早朝、群馬県は大雨に見舞われたため、試合開始時間の変更を余儀なくされたが、大会本部からの連絡を受けた竹中監督は食事やミーティング、そして移動開始時間などを調整し、選手たちがキックオフの14時から最高のパフォーマンスを発揮できるタイムスケジュールを逆算。それをチームに伝えた。

「監督やコーチングスタッフがイレギュラーなことにすぐに対応しながらマネジメントしてくれたので、ストレスなくプレーできました」

そう言って主将の谷口は、指揮官らの素早い対応に感謝していた。

2年前の経験はさまざな形でクラブの財産として受け継がれている。大迫力の応援でチームを鼓舞した応援団の中にはU-14の選手たちも含まれているという。彼らは全国大会のピッチで戦う先輩たちの姿をその目に焼き付けた。

「今後こういう舞台に戻ってきたいと思わせるためにも、こういう舞台を見せるべきと思っていましたので、それを見せられて良かったです」と竹中監督。先人たちが築いてきた歴史を追いかける。そういう思いが脈々と下級生に引き継がれることでアカデミーの底上げは成されていく。最上級生の須藤は「僕たち3年生が卒団したあとも、全国大会での経験はこのチームに最低でも2年間は残ることになります」と言い切った。

2015年7月25日。NTT図南グランド。引き分けでもノックアウトステージ進出が決まる優位な状況の中、0-2で敗れた町田ユースは悲しみの涙に暮れた。試合後、サポーターの前に立った主将の加倉井拓弥の泣き崩れる姿が記憶に新しいサポーターもいるだろう。

失意に暮れたあの日から約2年。あの日最下級生だった1年生の代が最上級生となった今年、初めて全国大会のノックアウトステージ到達という新たな歴史の扉が開かれた。

この冒険の結末がいつ訪れるのか。それはまだ分からない。でも、これだけは言える。先人たちの思いと経験値を、クラブの財産として積み上げてきた成果が、また新たな歴史の1ページを生んだということを。

Photo&Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

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