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レフェリーは謝らないし、罰を受けない?『自分でやったことがない人は、それがどれだけ大変なことか分からないため、痛烈な批判をしてしまいがちです』【審判批評コラム】

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今回は審判批評を中心としたWEBマガジン「石井紘人のFootball Referee Journal」からの記事になります。


レフェリーは謝らないし、罰を受けない?「自分でやったことがない人は、それがどれだけ大変なことか分からないため、痛烈な批判をしてしまいがちです」【審判批評無料コラム】石井紘人のFootball Referee Journal
2017年07月03日更新

「審判員はミスしても謝らない」

「選手にはペナルティがあるのに審判員にはペナルティがない」

そんな意見を目にするが、はたして審判員を知ろうとしているのだろうか?

一昨年あたりから、審判員とメディアが触れ合う機会が増えている。企画書が必要な取材申請をせずに、日本サッカー協会スタッフの目を気にすることなく取材できることで、審判員の素顔がメディアに伝わり、苦悩なども報じられるようになった。最たる例が家本政明主審のエピソード(参考記事:炎上した”させられた”家本政明レフェリーがSNSと心を閉ざした理由)だろう。

話を戻して、「審判員はミスしても謝らない」と言うが、そんなことはない。たとえば、山本雄大主審に、2015ゼロックススーパー杯(参考記事:オフサイドのミスと遠藤への微妙なジャッジ)について聞くと、「オフサイド後の森脇選手への異議。あれは、僕がオフサイドの誤審をしなければ起こらなかった。なので、森脇さんには、後で謝罪しました」(参考記事:山本取材記)と教えてくれる。そして、ミスを防ぐために、どうすべきかも付け加える。また、そういったミスジャッジがあれば、割り当てが変わることだってある。

選手にドラマがあるように、審判員にもドラマがある。あとは、それを知ろうとするかどうかだ。

「自分でやったことがない人は、それがどれだけ大変なことか分からないため、痛烈な批判をしてしまいがちです」(福沢諭吉)という言葉を、私は肝に銘じている。批判するならば、知ること、知ろうとすることが必要だと思う。誤った情報を拡散させることは齟齬を生む。

「審判員を知れば大変さが分かるから誤審を許そう」ではなく、跋扈する中身のない感情的なバッシングで審判員はレベルアップすると思えない。そうではなく、現状を分析したうえで、要求すべき。「謝れ」「処分を公開しろ」でどのように技術が向上するのだろうか?

Jリーグクラブが、敗戦後にミスした選手のプレーを糾弾し「ミスしたのでクビにします」と会見を開くだろうか?

ということで、山本主審のターニングポイントとなった誤審の原因や世界のレフェリーから学んだことを取材した(2017レフェリーブリーフィング山本雄大インタビュー)。


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